談話室 五三の桐 ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也
現在、我が国の高齢者人口はおよそ3600万人となり、総人口に占める割合は約30%となっています。もちろんお元気な高齢者の方もたくさんいらっしゃいますが、中にはご自身の判断能力に不安を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。
また知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方もいらっしゃいます。こうした方々には、日常生活において様々な不都合が生じる場合があります。例えば所有する不動産や預貯金などの財産を管理が困難であったり、本人に判断能力が全くない状態である場合は、様々な契約を結ぶことや、相続人として遺産分割協議をすることはできません。さらには悪質商法などの被害にあう恐れもあります。
こうした判断能力の不十分な方を保護し、支援する制度として成年後見制度があります。
成年後見制度には大きく分けると「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つの制度があります。「法定後見制度」とは本人や親族等からの申立てにより家庭裁判所が成年後見人等を選ぶ制度のことをいい、「任意後見制度」とは本人の判断能力があるうちに将来自分の判断能力が低下した場合に備えてあらかじめ任意後見人として生活を支えてくれる人を自分で選んでおく制度です。
次回からは数回にわたって成年後見制度の概要についてお話をしていきたいと思います。
「談話室 五三の桐」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.149(2023年11月号)
プロフィール
司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也(えがみ しんや)
昭和50年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成10年、司法書士試験合格。約20年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成30年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。
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