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株式会社の定款の整備について その1

談話室 五三の桐

話室 五三の桐  ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也

定款とは会社の基本原則が記載された「会社の憲法」ともいうべき重要書類です。定款に記載すべき事項は法律によって決められています。株式会社を設立する際には公証人から定款の内容について認証を受ける必要があります。この定款を「原始定款」といい、定款認証の際に公証人から原始定款の原本が1部交付されるとともに公証役場でも20年間保管されます。

原始定款の内容を変更する場合、例えば定款記載事項である商号や目的を変更する場合は株主総会の決議が必要になります。原始定款から変更がされた定款は公証役場等の公的機関では保管されず、会社で保管する必要があります。原始定款に定款変更をの決議をした株主総会議事録を添付していく方法が原則的ですが、そうなると膨大な量の書類となるので、現に効力のある内容だけを記載した定款に代表取締役が「定款原本に相違ない」旨の認証文をつけたものを現行定款として使用するのが一般的です。
したがって定款変更をするたびに定款の整備をしておかないと登記簿の内容と定款の内容に食い違いが生ずることがあり、金融機関等に定款を提出した際に定款の差替えを要求されることがあります。

また平成18年5月に「会社法」という新しい法律が施行された際に定款の記載事項等に変更がありました。そのため会社法施行前に設立をした株式会社については会社法にあわせた表現にしなければならなくなりましたが、全面的な定款の整備が負担となることから、別の法律によって旧商法時代の定款の会社法の表現・文言に適宜「みなす」とされています。しかし、前述のとおり定款の提出を必要をする場合に備えて、会社法に沿った定款に整備し直すほうがよいでしょう。

「談話室 五三の桐」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.145(2023年7月号)

プロフィール

司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也(えがみ しんや) 

昭和50年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成10年、司法書士試験合格。約20年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成30年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。

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