談話室 五三の桐 ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也
前回は平成18年5月以前に設立された株式会社の中には会社の定款が現行の会社法に沿った最新のものになっていない会社があるので定款の見直しをお勧めしますというお話をしました。
古い定款の見直しをする際には文言を変更するほか、株式に関する規定や株主総会、取締役会などの会社の機関が実態とあっているかの確認をお勧めします。以下、いくつかポイントを挙げていきます。
①役員(取締役・監査役)の任期について
旧商法では、取締役の任期は2年、監査役の任期は4年と法律で決まっていましたが会社法の施行後、「株式の譲渡制限規定がある会社」は任期が最長で10年まで伸ばせることになりました。任期を10年まで伸ばすことによって、役員変更登記のコストを抑えることができます。「株式の譲渡制限規定がある会社」かどうかは会社の登記簿で確認することができます。
②取締役会・監査役の廃止
旧商法において、株式会社には取締役会と監査役を置くことが必須となっており、取締役を3名以上、監査役を1名以上選ぶ必要があったため、名前だけを借りるいわゆる「名義貸し」の問題もありました。会社法ではそのような規定がなくなりましたので、取締役1名のみの会社も可能です。しかし登記簿に「取締役会設置会社」「監査役設置会社」の規定がある場合はこれらを抹消する必要がありますので、別途登記を申請する必要があります。ただし、株式の譲渡制限がない会社など、一定の場合には取締役会等の設置が義務付けられていますので、詳しくは司法書士にお尋ねください。
「談話室 五三の桐」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.146(2023年8月号)
プロフィール
司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也(えがみ しんや)
昭和50年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成10年、司法書士試験合格。約20年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成30年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。
コメント