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相続登記の義務化について②

談話室 五三の桐

談話室 五三の桐  ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也

前回は、2024年から原則として相続が発生してから3年以内に相続登記をしなければならなくなる、というお話しをしました。

では、亡くなった方が遺言書を残しておらず、かつ、相続人の間で誰が相続するのかという遺産分割の話し合いもまとまらないので、相続が開始してから3年以内に登記ができない場合は過料を納めるしかないのでしょうか。
この場合、相続人から法務局に対して「相続が発生して、法律上の相続人は誰それです」という旨の申出をすることで過料を免れることができます。これを「相続人申告登記」といいます。

一部報道などでは、この相続人申告登記について、これが相続登記の代わりになり、手続きそのものが簡単になったかのように伝えられていますが、これは正確ではありません。繰り返しになりますが、この制度はあくまでも3年以内の相続登記申請義務を免れる手段であって、登記簿上の所有者が亡くなったということを登記しているだけに過ぎません。つまりこの状態では最終的にこの不動産は誰が相続し、現在の所有者が誰なのか、というところまでは確定していないのです。

したがってこの不動産を売却したり、金融機関から融資を受ける際の担保をする場合には、あらためて遺産分割協議をしたうえで相続登記を申請し、現在の所有者の名義にする必要があります。
そしてこの相続登記についても、遺産分割協議が成立してから3年以内に相続登記を申請する必要があります。

「談話室 五三の桐」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.131(2022年5月号)

プロフィール

司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也(えがみ しんや) 

昭和50年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成10年、司法書士試験合格。約20年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成30年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。

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