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相続登記の義務化について

談話室 五三の桐

談話室 五三の桐  ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也

現在のところ不動産の登記名義人(≒所有者)が亡くなった場合、相続登記の申請は義務ではありません。いつまでに相続登記をしなければならない、といった期限もありません。
しかしその結果、適切な相続登記がなされないまま二次相続、三時相続が発生し相続関係が複雑になったためにさらに相続登記を放置するといった悪循環に陥り、現在の所有者が誰なのかが登記簿に反映されていない不動産が増加しています。

2016年の調査によると、所有者のわからない土地の面積は九州本島の面積を上回っており、今後さらに増加するとの予測がなされています。
このような「所有者不明土地」が管理の放置による環境悪化を招いたり、公共事業のための用地買収や民間での土地取引の際に現在の所有者が誰なのかを調べるための多くの時間と費用を生じさせるといった損失を生じさせています。

そこで、2021年3月に相続登記を義務化する法律の改正がなされ、2024年4月1日から施行されることとなりました。
具体的には、不動産の所有者について相続発生したときは、相続人は自分のために相続が開始したことを知り、かつ、不動産の所有権を取得したことを知った日より3年以内に相続登記を申請する義務が生じます。これに違反した場合は10万円以下の過料が課せられます。
注意すべき点としては、相続登記の義務化は2024年4月1日以降に発生した相続だけを対象とするのではなく、それ以前から発生している相続も対象となることです。つまり、今年相続が発生した不動産も義務化の対象となるということです。この場合原則として施行日より3年以内に相続登記を申請する必要があります。

「談話室 五三の桐」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.130(2022年4月号)

プロフィール

司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也(えがみ しんや) 

昭和50年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成10年、司法書士試験合格。約20年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成30年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。

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