経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

無から有を産むエンタメ

エンタメのチカラ

エンタメのチカラ  ■レジリア 代表 西 高一郎

何もないところ(変化の乏しい場所が)に作品の力で価値を生むことができる。これもまたエンタメの持つ力だなと感じた機会があったので紹介します。

ある仕事で結構な遠方の島に行った時に見た光景をきっかけにそれを強く感じました。
聖地巡礼ということばがあります。
本来、宗教的に重要な意味を持つ場所(聖地)を訪問することなのだけど、現代では、聖地とは、映画やアニメ、その他文学などいわゆる作品というものの中に出てくる街や空間、もしくはその作品の撮影された現実空間に存在する場所、建物を意味し、そこを訪れそれぞれの作品に対して思いを馳せたり空間を共有したりという行為を意味するようになってきた。時には単なる作品制作のインスパイアのキッカケになっただけという場合ものもあります。
端的に表現すると、多くの支持を得た作品や人物にゆかりのある場所をファンの方がリアルに足を運び想いを馳せるというアレです。

人の集まる場所にはマーケットが育つ理由ができます。聖地巡礼においても同じことが起きやすいといえます。
単純に作品とコラボした限定グッズが売れたりもありますが、それ以前に人が動くことで公共機関利用率が上がったり、近隣エリア込みで飲食店の稼働が上がったりと新たな経済活動が発生します。
これまでそこで暮らす人々にとって単なる日常の景色でなかったもの。そのエリアで暮らす人々だけで回すべき商圏だったものが、ある日を境にエリアの外からマーケットの中へ人を呼び込める価値を持つことになります。
これってまさにその土地に新しい価値を生んで人の流れを引き込む役割を担っているんですね

この「聖地巡礼」型観光は、ピルグリム・ツーリズムと呼ばれ、もともとフィルムツーリズムのように〇〇ツーリズムと呼ばれる訪問型の旅行コンテンツとして存在しています。
そんな中、先の聖地巡礼の名のもと、ドラマやアニメ作品とのコラボ効果でコンテンツツーリズムという新しいジャンルとして浸透してきました。
仕事で訪れた離島。美しい自然と島の歴史が数少ないコンテンツだった。
その土地に、多くの人に愛される作品が作られたロケ地であるという新しい歴史的価値が生まれ聖地巡礼で多くの人が訪れる。

人に愛される素敵な作品が生まれることによって、無から有、またはプラス1の価値を生み出すエンタメの持つ可能性は改めて無限だなと感じます。

エンタメのチカラ  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.138(2022年12月号)

➤ 他の「エンタメのチカラ」記事を読む

プロフィール

西 高一郎(にし こういちろう) 
レジリア 代表
1971年生まれ。長崎県佐世保市出身。佐賀大学卒業後、イベント企画や WEB製作に携わる。2012年5月レジリアを設立。イベント制作・運営を軸 にWEBコンサル、制作ディレクションを手掛けている。特に、イベント 製作・運営では、プロモーションイベント、スポーツイベント、講演会などを中心に企業単位のものから大型のイベントまでこなす専門家と して、九州内外から依頼を受ける。

コメント

タイトルとURLをコピーしました