経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

かんぺきなこども

絵本に学ぶ仕事術

絵本に学ぶ仕事術  ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 美穂子

2022年のラスト絵本。内容も深いが今回は「絵本のつくり」の点から仕事術を読みたい。
絵本は見返しも読む。それは表と裏にある。絵本によって無地だったりデザインがあったりするが、物語に入る前のワクワクの「間」や、もう一度読みたくなる「余韻」が含まれている。侮ってはいけない。

今月の絵本の見返しは黄色。はじまりには2人の男女が歩いている絵も描かれている。不思議だが、一度読み終わって再度表紙・見返しの順に読み進めると、今度は表裏違う黄色に見えた。表の見返しにあるのは嘲笑と不安を煽る黄色。それが物語を通して明るく楽しい未来への希望の黄色と変化したのだ。
見返しの色が変わって見えるほど自分事にできる物語。こどもストアで買った「かんぺきなこども」のお話。

こどもの名前はピエール。彼は完璧。こぼさないで食べるし親の手を煩わせることもない。お勉強もお行儀も最高だ。親の欠点も補える。でもある日・・。彼にとって最悪な出来事が起きた。そして、とうとう両親である2人に向けて爆発した。夫婦は驚きこどもストアへ返品にいく。 
ペットショップさながらのこどもストアの風景。上下2段に積まれたゲージにこどもが入っている。トランペットが上手なこども。数学が得意なこども。なんともシュールな図。そこにあるのは命じゃない。こどもを商品にする大人のエゴがある。他人に完璧を求めてないかなんと深くて反省の多い絵本だろう、そんなことを考えながら最終ページ。修理交換したい夫婦と店員に、ピエールは「かんぺきな パパとママに、かえてもらっても いいですか?」と言った。お話は終わる。余韻。

絵本には「え?これでおしまい?」と、いきなり終わる物語の落としどころにうろたえることが多々ある。だからこそ特に終わりの見返しは重要なのだ。
この絵本で見返しは、不穏な黄色から希望の黄色に変わっていた。そこには綿あめをほおばりながら歩いている陽気な親子3人がいて、きっと本物の家族になるだろうと未来を予感させている。

これを新年の迎え方に置き換えてみる。12月は見返し。今年の物語を2023年へつなぐ希望の見返しにしよう。

『かんぺきなこども』
 作 : ミカエル・エスコフィエ
 絵 : マチュー・モデ
 訳 : 石津 ちひろ
出版社: ポプラ社
発行日:2019年 

「絵本に学ぶ仕事術®」   Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.138(2022年12月号)

➤ 他の「絵本に学ぶ仕事術」の記事を読む

プロフィール

三宅 美穂子(みやけ みほこ) 
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

会社概要 - 社員研修プログラムなら、有限会社ウーヴルへ
Overview 会社概要 有限会社ウーヴルの会社概要をご紹介いたします。 代表挨拶 社名であるoeuvreと

コメント

タイトルとURLをコピーしました