ミレニアル紀行文 ■石田眞穂
先日、ある記事を目にしました。コロンビア大学で教鞭を取るキャスリーン・パイク氏が、上の世代はキャリアのスタート時に「テクノロジーによるプレッシャー」に直面することはなかったと語ったそうです。
テクノロジーによるプレッシャーというものが何かを日常に落とし込んで考えているうちに、これまで友人から受けた数々の相談を思い出しました。
「SNSに投稿したものが、雇用者に不利な証拠としてどう判断されるかわからないので就活前に記録を全て消した。」「会社の先輩にSNSを聞かれ、暗黙の了解で個人のSNS上でも繋がりを持たざるをえなくなり好きに投稿ができない。」「社内用チャットの通知が昼夜問わず鳴り響き、プライベートの時間も仕事に引き戻される。」など、いつでもどこでも関わり合える利便性の高いツールが、逆にメリハリを持って仕事に取り組む意欲を削いでいるのではないかということに気づいたのです。
アメリカの若者の間では今日、給料に応じた労働と静かな退職がトレンドとなっているそうです。Z世代が否が応でも定時に帰ろうとする姿勢や、まだそう長く働いてもいないのに待遇に不満を感じすぐに諦めてしまう姿勢は、やる気のない世代で仕事への向上心が感じられない若者に見えるとも思います。
ですが見方を変えると、これはZ世代が仕事が終わったら緊急事態でない限り職場を離れて自分の時間を過ごせる、という仕事とプライベートの境目を取り戻そうと動いている瞬間にすぎないのかもしれません。
ミレニアル紀行文 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.154(2024年4月号)
プロフィール
石田眞穂
1996年生まれWEBライター。職場で円滑に仕事が進むよう日頃からコミュニケーションを取る大切さと、プライベートの時間を確保することの両立って本当に難しいと感じます。歩み寄りと思いやりに尽きるなと感じる毎日です。
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