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消費者感情を動かすプロセスエコノミーとエンタメとの関係

エンタメのチカラ

エンタメのチカラ  ■レジリア 代表 西 高一郎

以前プロセスエコノミーという言葉の話をしました。これからのマーケットの流れは完成品や情報公開ではなく、商品やサービスの背後に潜む物語が重要になるというアレです。
まだこのワードに馴染みのない方もいると思いますが、実は、この考え方を強烈に表した出来事が2021年7月24に起きました。東京オリンピック・パラリンピック2020の開幕式です。

ご存知の通りこの大会については新型コロナウィス感染症の世界的影響で1年の延期。重ねて感染症対策をはじめ日本の行政が取り組む様々な活動や施策が何かに付けて国民感情をうまく包み込むことが出来ていなか開幕が近づきました。
そして、大会の実施そのものについて各方面でなんだかんだとザワザワした空気が続き、あげく開幕直前に開会式の目玉となる演出関係でのゴタ付きが発生。

エンタメ業界の裏方を生業とする僕としても、この一連の動向は他人事に思えず、全てを完全に実施すること前提で準備を進めてきたすべての関係各位の皆様の心労と挫折感みたいなものを考えると本当になんと表現してよいやら。。。という心境でした。

4年に一度の平和の祭典。世界中の人々がスポーツを通して一つになる世界最大にしてエンターテイメントの頂点のはずのオリンピックが、2020年の東京大会において、開催前から前代未聞の困難に向きい、過去に例のない負の感情に襲われながら開幕当日を迎えたのでした。
開会式野始まる直前、この時点で流石に頭をよぎります。
「開会式はどうなるの?」「そもそも開催できるの?」「責任者不在で何が出来るん?」
そして、こうなります。開会式ちょっとだけでもみてみよう!

この時の「見てみよう」「見てみたい」は、オリンピックだからとか大きなイベントだからとかではなく、これだけ多くの困難を抱えて本番どうなるのだろう?そこ気になりません?気になるますよね!なんです。
直前まで強烈にメディアで露出されてきたネガティブ情報がここに来て強烈な前フリとなっているという事実です。

完成品ではなくサービスや商品の背後にある物語(プロセス)に心を奪われることことはプロセスエコノミーの真髄なので、今回のオリンピックの開会式は図らずもプロセスエコノミーの一つの形としてしっかり結果を出したんじゃないかなと感じました。
この文章が読まれる頃には開会式のことなど一部の人以外忘れられているかもしれません。開会式そのものの評価は色々ありましたがそれについてはここでは論じません。
それでも、オリンピックという世界一のスポーツエンターテイメントにおいてプロセスエコノミーの考え方が大きく働いていたという事実はちゃんと認めておいたほうが良いですよ。そんなお話でした。

エンタメのチカラ  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.122(2021年8月号)

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プロフィール

西 高一郎(にし こういちろう) 
レジリア 代表

1971年生まれ。長崎県佐世保市出身。佐賀大学卒業後、イベント企画や WEB製作に携わる。2012年5月レジリアを設立。イベント制作・運営を軸 にWEBコンサル、制作ディレクションを手掛けている。特に、イベント 製作・運営では、プロモーションイベント、スポーツイベント、講演会などを中心に企業単位のものから大型のイベントまでこなす専門家と して、九州内外から依頼を受ける。

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