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遺産分割前の相続預貯金の払戻し制度

談話室 五三の桐

話室 五三の桐  ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也

預貯金の口座名義人が死亡し、有効な遺言がないためその相続預貯金が遺産分割の対象となる場合は、遺産分割が終了するまでは相続人単独では相続預貯金の払戻しを受けられないことがあります。そのため葬儀費用や生活費等早急に必要なお金を亡くなった方の口座から引き出せないという問題が生じていました。このような問題を解決するために2019年から民法の改正により相続預金の2種類の払戻し制度が設けられました。

1つ目の制度は各相続人が150万円を上限として自由に払い戻せるものです。上限額の計算方法は「相続開始時の預金額」×「1/3」×「払戻しを行う相続人法定相続分」となります。複数の金融機関に口座を持っていた場合は各金融機関ごとに計算をし、上限は各金融機関ごとに150万円となります。

(例)相続人A,B(法定相続分2分の1)1つの口座に預貯金が600万円ある場合
   Aが単独で払い戻しができる金額
   600万円×1/3×1/2=100万円

2つ目の制度は家庭裁判所に遺産分割の審判や調停の申し立てをしている場合に、各相続人が家庭裁判所に対して預貯金を払い戻す必要がある旨を申し立てて、その審判を受けることにより相続預貯金の全部または一部を仮に取得する制度です。こちらには上限金額はありません。

「談話室 五三の桐」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.140(2023年2月号)

プロフィール

司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也(えがみ しんや) 

昭和50年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成10年、司法書士試験合格。約20年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成30年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。

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