談話室 五三の桐 ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也
保佐制度において、保佐人は、本人の日常生活に関する行為以外の法律行為のうち、法律で定められている重要な行為について同意権と取消権を持っています。
重要な行為とは、
①貸したお金の元本の返済を受けることや預貯金の払い戻しを受けること
②借金をしたり保証人になること
③不動産などの重要な財産の取得や手放すこと
④民事裁判を起こすこと
⑤贈与・和解・仲裁契約を結ぶこと
⑥相続の承認、放棄、遺産分割をすること
⑦贈与や遺贈の拒否及び負担付贈与や負担付遺贈を承諾すること
⑧新築・改築・増築や大修繕をすること
⑨一定期間を超える賃貸借をすること
があげられます(民法第13条1項)。本人がこれらの行為を保佐人の同意なく行った場合は保佐人が取り消すことができます。
また保佐人は原則として代理権を持っていませんが、家庭裁判所に対して特定の法律行為について別途代理権の付与の申立てをし、家庭裁判所が認めた場合は、その法律行為についてのみ代理権を有することができます。
補助制度においては補助人は選任されただけでは何の権限も持っていません。被補助人が上記重要な行為を行う場合に別途家庭裁判所に対して申立てを行い、その行為についての同意見と取消権が与えられます。
補助人も代理権を持っていませんが、保佐人と同様に家庭裁判所に対して特定の法律行為について別途代理権の付与の申立てをし、家庭裁判所が認めた場合は、その法律行為についてのみ代理権を有することができます。
「談話室 五三の桐」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.152(2024年2月号)
プロフィール
司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也(えがみ しんや)
昭和50年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成10年、司法書士試験合格。約20年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成30年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。
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