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個人契約の生命保険の受取人変更

経営者と税理士と節税

経営者と税理士と節税   ■井上税理士事務所 所長  井上 伸一

私が税理士に登録したのは、今から20年以上前の27歳の時でした。当時、勉強の中で相続というものは学習しましたが、幸か不幸か、クライアントの皆さんも若く、その親御さんにも相続が起こるようなことは、あまりなく「相続税申告」という機会は滅多にありませんでした。
ところが、私も50歳を超え、当たり前ですが、私のクライアントも同時に歳を重ね、その親御さん等が亡くなるということも増え、ここ数年は、年間に数件の相続税申告を行なっています。

平成27年以降、基礎控除が減ることにより相続税の申告をしないといけない方が増えるといわれ、確かに増えているのでしょうが、私の申告は以前の基準でも申告が必要な資産状況であることが多いので、やはり単純に、私の周りに亡くなっている人が増えているのでしょう。

最近、相談を受ける事が増えた事案は、生命保険の名義変更です。資産家の中には、お付き合いで多くの保険に加入しているようです。契約者・被保険者が本人、受取人がお子さんという契約であれば、問題ありません。みなし相続財産として、受け取った保険金を相続財産として、申告すればいいことになります。

では、契約者・受取人が本人、被保険者がお子さんの場合は、どうなるでしょうか。通常、お子さんより、ご本人(親)の方が先に亡くなるので、相続が発生した後、受取人の変更をして、相続発生時の解約返戻金相当額で「生命保険の権利」として、相続財産に含めます。  
ここで、よく聞かれるのは「相続財産に入れたくないので、本人(親)が元気なうちに契約者と受取人を変更したいのだけど、そんな事できる?」というものです。この場合であれば、契約者を本人(親)から子供へ、受取人を本人から孫へという変更の希望が多くなります。

結論から言えば、名義変更は可能です。名義変更により、相続財産に含めないことができます。しかし、相続税は掛かりませんが、他の税金が発生します。
次回は、名義変更後、相続発生後に考えなければならない税金についてお話します。

経営者と税理士と節税  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.131(2022年5月号)

プロフィール

井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。

URL http://www.itax.jp/

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