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炭火焼き豚足の自販機展開でビジネスチャンスを創出

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Trend&News   ■CROWNS株式会社 

最近、ユニークな商品を販売する自動販売機が話題にのぼるようになった。商品の意外性に注目が集まる。新型コロナウイルス感染拡大防止のための人との接触を避ける風潮は、24時間人と接触することなく商品を購入することができる自販機の売上を押し上げている。そこに、これまでにない工夫を凝らした商品を提供することで、自販機ビジネスは新たな販売チャネルになり得ると期待されている。CROWNS株式会社(福岡市博多区、山下大悟社長)が展開する「大吾の炭火焼き豚足」も自販機販売の可能性を広げようとしている。

統括責任者の有馬浩平氏

無人店舗や自販機の関心が高まる

新型コロナウイルス感染が始まって3年目に入った。その間、飲食店やカラオケボックスなどアルコールの提供や人が集まる施設は時短や営業自粛を求められている。リモートワークの普及で、外に出る人の数も減った。
外出や人の移動が激減したことで、多くの業界がダメージを受けた。集客によって成り立っていたビジネスモデルは、経営が立ち行かなくなったところも多い。補助金や融資制度の拡充で、なんとか経営を続けながらも先行きに不安を抱えている経営者は多いはずである。コロナだけがその要因ではないだろうが、先の見えない閉塞感に経営者が気持ちを維持できず廃業を選択するきっかけになったケースは決して少なくない。

オンラインを活用したビジネスや異業種への参入を図るところも目立つようになった。飲食店ではテイクアウトや料理の宅配サービスなどを導入し、巣ごもり需要の掘り起こしなどで活路を見い出そうとしている。

こうした変化が求められる状況にあるためか、ユニークな形態のビジネスも増えている。例えば、冷凍餃子を24時間販売する無人店舗や自動販売機(自販機)では置いていなかった商品を並べる自販機も登場している。自販機は、スペースさえ確保できる場所があれば設置できるとあって、注目を集めている。従来のように路面に自販機を設置しているものもあれば、コインランドリーなど施設内に設置しているケースもあるなど、環境に合わせて柔軟に展開できるところも受けているのだろう。

24時間、無人営業できる強み

自販機が支持を集めるのは、客はコロナ禍に人と対面することなくいつでも好きな時に商品を購入することができるということだろう。一方、運営側は、自販機を設置するスペースさえあれば24時間販売できる。販売スタッフを要しないため、人材募集のための費用や賃金も発生しない。新型コロナウイルス感染拡大防止のために営業時間を短縮したり、自粛したりする必要もない。このような自販機の特性を利用して、営業時間の短縮や休業などで販売機会を失って損害を受けている業界、新規事業を模索している店や企業といった異業種から、自販機での商品販売事業を検討する事例が増えているようだ。

障害者就労支援事業や飲食店、通信事業などを手掛けるCROWNS株式会社(福岡市博多区、山下大悟社長)が展開する自販機での豚足販売も面白い。豚足は、コラーゲンを豊富に含むことから男性だけでなく女性にも人気を集め、居酒屋や食品スーパーなどでもよく目にするようになった。それを、自販機で販売するというのだ。レトルトの炭火焼き豚足を販売する自販機を昨年12月から設置しはじめ、1月末時点で福岡市内四ケ所に増やしている。統括責任者の有馬浩平氏も「期待以上の販売実績を上げている」と目を細める。

自社ブランド「大吾の炭火焼き豚足」は焼き豚足を熊本で展開するメーカーに依頼し、レトルト加工したものをグループで仕入れている。これを、障害者就労支援事業を手掛ける「ふくらぼ」でパック詰めを行うことで、事業所で働くスタッフの収入の向上も併せて図ることを目的としている。
「大吾の炭火焼き豚足」は、国産豚のみを使用し、香料や着色料、保存料、甘味料、酸化防止剤といった食品添加物を使用していない。また、真空パック120℃レトルト殺菌処理を施しているため、常温でも長期間の保存に耐える。そのため、冷凍が必要な商品に比べて運送や管理費を抑えることができる。また、万が一、自販機が停電しても品質劣化の影響をあまり受けないという強みもあるため、災害時に備えた備蓄食としても利用できる。

事業パートナーとの協業で展開を加速

自販機で販売しているのは、前足1本、後足1本をセットにした「大吾の炭火焼き豚足」(約370グラム、税込み750円)やカレー味にした「大吾の炭火焼き豚足カレー味」(約370グラム、税込み800円)、豚足や大根、玉子、こんにゃくのセット「大吾の豚足おでん」(約450グラム、税込み650円)の3種類。商品開発をすすめ、さらに商品アイテムを増やす計画だ。

同社は、自社での自販機設置を進めながら事業拡大を図るため、自販機のオーナーやビジネスパートナーの募集を始めた。提携の形態には三つのモデルがある。
①設置場所があり、自販機の管 理ができるオーナータイプ
 土地や店舗などの施設を持ち、自販機の設置と商品の在庫管理、補充などができ、自販機オーナーとして事業を行うことができる。最も高い収益を見込める。
②設置場所を貸すタイプ
 設置場所は持っているが、自販機や在庫管理ができなくても、場所を提供できる設置場所貸出タイプで、賃料収入を見込むことができる。
③紹介業タイプ
 設置場所を持たないが、オーナーや設置場所を貸してくれる先を紹介した場合に開発手数料を得ることができる。

当面は、福岡市内での展開に注力し、徐々に設置エリアの拡大を図る考えだ。同社の自販機は最近、マスコミでも取り上げられるようになったため、記憶に残っている人もいるのではなかろうか。豚足と自販機の組み合わせは意外だが、それだけ消費者に対するインパクトも強いとあって、マスコミにも取り上げられ始めているのだろう。

コロナ禍で商店や飲食店など集客型の商売は時短営業や休業を余儀なくされ、商売をしたくてもできず、売り上げは上がらない。不安ばかりが募る経営者も多いことだろう。コロナ以外でも新種のウイルスが蔓延すれば、また、自粛を要請される可能性は高い。店舗の軒先や空きスペースを活用して、収入を得ることが期待できる自販機は、今後も増え続けるだろう。

会社概要

会社名  CROWNS株式会社
住 所  福岡市博多区博多駅南2-14-4 田畑英房ビル202
     TEL.092-412-3024
代 表  山下大悟
事業内容 障害者就労支援事業、通信事業、飲食店など
URL   https://daigo-tonsoku.jp/

Trend&News  Navi(ビス・ナビ)Vol.129(2022年3月号)

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