経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

経営者としての勘を養うべし

当世ビジネス芯話

当世ビジネス芯話  ■編集人 宇野 秀史

物事の先を読んだり、見えない現象を感じたりする人を「勘の鋭い人」ということがある。「初めて会った人が信用できるのか」「出店候補地で幾らぐらいの売上が上がるのか」「この場所は気の流れが良い」「このまま事を進めるとトラブルになる」など、様々なパターンがある。もちろんすべてが的中するわけではないが、その勘を大事にする経営者は多い。

この経営者が持っている勘とはどういうものなのか。経営は科学的なデータなどの根拠に基づき判断すべきだとする考え方が一般的である。しかし、多くの経営者から話を聞いてきたなかで、成功している経営者の多くが「勘」を大切にしている。例えば、店を出す場合、専門家に依頼して周辺人口や所得水準、地域のライバル店の有無、人や車の流れなどに関するデータを収集し、それまでの自社の成功パターンに当てはめて、算盤をはじく。しかし、多くの経営者が最終的には勘を重視する。

非科学的なようにも思えるものだが、必ずしもそうではない。同じことを繰り返し、それも、他人とは比べものにならない程の数をこなすことで、感覚が研ぎ澄まし精度を高めていく。名工と呼ばれる職人が、我々では想像もつかないような素晴らしい作品を創り出すのは、才能というよりも日々の積み重ねを真摯に続けているからだといえる。
経営者の勘も同じではないだろうか。たくさんの人と向き合った経営者は、人を見る力が鋭くなるし、ちょっとした変化を察知してリスクを回避したりビジネスのアイデアにつなげたりする。

目に見えない力を付けるにはどうしたらよいのだろうか。一つは、同じことを何度も繰り返すこと。そして、その都度、振り返り改善を行うこと。運動神経の良し悪しは遺伝ではなく、同じ練習を繰り返すことだと最近の研究で明らかにされている。また、自分が手本とする経営者の考え方や行動を真似ることも近道かもしれない。そして、日々の繰り返しを応援してくれる仲間をつくることだ。

これからの経営者には、是非、経営の勘を養っていただきたい。

当世ビジネス芯話  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.123(2021年9月号)

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プロフィール

宇野 秀史(うの ひでふみ) 
ビス・ナビ編集人
昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。

著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)

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