経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

中小企業同士で経営資源を共有する環境づくりを

当世ビジネス芯話

当世ビジネス芯話  ■編集人 宇野 秀史

新型コロナウイル感染拡大が止まらない。東京と周辺都市、大阪、名古屋、福岡といった大都市だけではなく、全国に広がっている。第1波で自粛を強いられた飲食店やイベントホールなど、大半の業界がかなり大きなダメージを受けた。

政府は持続化給付金やセーフティーネットで倒産防止策を講じこともあり、なんとか多くの企業が事業を継続している。それでも、廃業したケースは多い。大半の企業は、感染拡大がいつ収束するかが分からないという先が見えないなかで、得体の知れない不安を抱えながら必死で事業を立て直そうとしている。
このまま感染収束に時間がかかれば、持ち堪えられなくなるだろう。政府の支援にも限界がある。結局、我々中小企業自身が自衛しなければならないということだ。

自粛ムードで経済が回らなくなると、どうしても安いものを求める傾向が強くなる。そうして合理性や効率性をますます追求するようになる。企業が生き残っていくためには必要なことではあるが、経済合理性を追求した果てに、地域の伝統や文化が衰退してしまったケースもあるのではなかろうか。
食文化を見ても、大手のチェーン店が進出し、その土地の伝統を守ってきた店を資本力で圧倒する。自由競争の結果だから仕方がないと言えばそれまでだが、大手チェーンが軒を並べた街並みを見て、やっと自分たちが大事にしたい心象風景や食文化が失われたことに気づくのだろう。

地域の伝統や文化を守るためには、経済合理性にはそぐわないと思われることでも、地域の協力、助け合いが必要であると思われる。本当に自分たちにとって必要な店であれば、大手チェーン店よりも多少高かろうが、店に通うという考え方をしたいものである。
ヨーロッパの魅力的な地域では、地元の人たちがその土地の伝統や食文化などを守る意識が強く、それが、地域の特色、魅力となっているし、結果的に、域外から人を集め、地域経済を回している。

経済が複雑化した今日、中小企業の経営においても協力体制を構築することが必要になってきたと感じる。経済団体などは本来、そうした機能も求められているのだろうが、規模が大きすぎる。もっと個人レベルで、人柄や考え方を共有できる経営者同士でつながることができる関係をつくり上げることだ。
先日、コロナで経営が厳しい観光バスを運営する会社が、自社の運転手を人手が足りない運送会社に出向させて双方の問題を解決しているというニュースを見た。
中小企業は、経営資源が乏しいと言われるが、いろいろな技術やノウハウ、さらには人材を共有することが可能な時代が来ているのかもしれない。

数字だけを追いかけのではなく、信頼し合える仲間をつくり、お互いの強みを発揮できる環境と関係をつくることができれば、これまでと違った企業の在り方が見えてくるように思うが、如何であろうか。

当世ビジネス芯話  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.110(2020年8月号)

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プロフィール

宇野 秀史(うの ひでふみ) 
ビス・ナビ編集人

昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。

著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)

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