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医療法人と税金 法人化のメリット②

経営者と税理士と節税

経営者と税理士と節税   ■井上税理士事務所 所長  井上 伸一

診療所や病院の法人化には建前と本音があります。建前としては、
①医療施設の永続性を図るため
②資本の集積を可能にするため
③医療設備の充実を図るため
④家計と分離することにより医療経営の近代化を図るため
といったような事が挙げられ、実際に医療法人を設立する際には、このどれかに〇(マル)を付けて申請することになります。
しかし、実際には法人化の目的の多くは「節税」ですね。私も現在進行形で、2件の医療法人(歯科と婦人科)の設立のお手伝いをしていますが、両方とも目的としては「手残りを増やしたい」ということであり、つまり節税です。

どうして法人化すると節税になるのでしょうか。法人の運営には、一般に3つの税金がかかわってきます。法人の所得にかかる法人税、給与にかかる所得税、それから消費税です。歯科や婦人科の中には、消費税の申告が必要なところもありますが、多くの場合、消費税の申告は必要ありませんので、法人税と所得税のバランスを考えながらの法人運営となります。個人経営から法人経営になることにより、事業所得から給与所得になります。給与所得には「給与所得控除」がありますので、これだけでも課税される所得が少なくなります。

以前は、給与所得が増えれば増えるほど、この給与所得控除も増えていましたが、現在は一定の給与額で頭打ちとなっていますが、それでも大きな節税効果はあります。
また、法人税の最高税率は、所得税のそれよりも低くなっており、また、医療法人の多くは事業税の支払いがほとんどないため(歯科や婦人科は例外あり)、普通法人よりも実効税率は低くなります。ですから、法人の利益と院長先生の給与等のバランスを考えながら、役員報酬の決定等を行うことになります。

経営者と税理士と節税  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.110(2020年8月号)

プロフィール

井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】 
井上税理士事務所 所長

昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。

http://www.itax.jp/

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