経営者と税理士と節税 ■井上税理士事務所 所長 井上 伸一
確定申告の申告期限が、通常の3月15日となり、昨年・一昨年のゆっくりペースから、一気にトップギアに入れて申告作業を進めています。この原稿を書いているのは2月22日で、12月決算(2月申告)の作業と同時に所得税の確定申告を行っています。毎年約100名(贈与税を含む)の申告を行いますが、まだ20名ほどしか終了しておらず、後半には事業所得(医者・歯医者等)の申告が待っているので、2ヶ所給与・不動産・譲渡などの資料が揃っていれば、すぐに手続きが終了するような簡単な申告は、出来るだけ早く終わらさねければと思っています。
さて、皆さんは、ふるさと納税は行っていますでしょうか。上限額はありますが、地方自治体へ寄付を行うと、所得から控除されたり住民税から控除されたりと、寄付金とほぼ同額の所得税と住民税が減ることになります。ふるさと納税の場合は、この寄付金控除に加えて、各地の特産品が届きますので、この部分が「お得」ということになり、年々、ふるさと納税の額が全国的に増えている状態です。私が卒業した高校の先輩が市長を務める平戸市は、全国で初めて2014年に寄付金収入が10億円を超えたと話題になりました。
所得金額が多くなればなるほど、寄付金の上限額が大きくなるので、「お金持ちのカタログショッピング」と揶揄されることもあります。富裕層の方から「何か節税する方法ないですか?」とよく聞かれます。節税の解釈には色々とありますが、個人事業をされている方は、ふるさと納税が一番簡単な方法だと私は思います。
個人的な見解ですが、返礼品の選び方にも気を付けたほうがいいところがあるかもしれません。例えば、出張に多く出かける先の旅行券等を返礼品に選ぶより、個人旅行で行きたい先を選ぶほうが良いでしょう。なぜならば、出張でのホテル等は経費として処理できるからです。旅行券等に限らず、業務で利用できるものは、通常通りの支出・購入とするほうが良いのではないでしょうか。
所得税の申告の際に、寄付金の控除証明書を見る機会が増えました。多い方で、20枚以上あります。色々な市町村に寄付をされている方もいますが、中には同じ自治体に何度も寄付をしている方もいます。最近は「何処に寄付して何をもらったか」とお尋ねするのが楽しみになっています。
経営者と税理士と節税 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.129(2022年3月号)
プロフィール
井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。
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