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経済産業省はこのほど、日本健康会議により「健康経営優良法人2020」として、大規模法人部門に1481法人(うち500法人を「ホワイト500」)、中小規模法人部門に4723法人が認定されたことを発表した。
同省では、次世代ヘルスケア産業協議会健康投資ワーキンググループ(日本健康会議健康経営500社ワーキンググループ及び中小一万社健康宣言ワーキンググループも合同開催)において、健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」すべく、「健康経営優良法人認定制度」の設計を行っている。これは2017年から始まったもので、今回で4回目となる。
第1回(2017年)の認定法人は、大規模法人部門(ホワイト500)が235法人、中小規模法人部門が九五法人と大企業主体の感もあったが、第2回(2018年)では、大規模法人部門が541法人、中小規模法人部門が776法人と、中小規模法人の認定が大幅に増加した。第3回(2019年)では、大規模法人部門が821法人、中小規模法人部門が2503法人と、どちらも大幅に増えた。そして、今回の第4回(2020年)では「大規模法人部門」が1481法人、「中小規模法人部門」が4723法人となった。
同認定制度は毎年申請することになるため、継続して認定を受けている企業もあるが、4年間でこれだけの企業が認定を受けるということは、認知度と企業の関心度が上がったということであろう。こうした制度が企業の関心を集めている背景には、人口減少に伴い企業での人手不足が深刻化してきたことがあるといえる。ITやAIの発達は経営の効率化、合理化を助けるツールとして少人数で高い生産性を実現することも可能になるだろう。しかし、人が関わる仕事が多い会社において、人材不足は死活問題である。
大企業は豊富な資金力と圧倒的な知名度で、人を集めることができるが、資本力が弱く認知度も低い中小企業にとって、いかに人材を確保するかは頭の痛い問題である。そうした中小企業にとって、健康経営優良法人認定制度は、企業ブランドを高める手段として活用できる。認定数の大幅な増加は中小企業も同制度の価値を認識している表れであろう。
というのも、近年の若者が企業に求めるものが変わってきているからだ。以前は、仕事内容や給与、休日数、福利厚生などであったが、最近は、そうした項目も当然ながら重要視するのだが、それらに加えて働き易い職場環境や社会貢献に対する企業の取り組みなどを重視するようになってきた。言い方を変えると、どれだけ人や社会、環境に寄り添うことができる企業であるかということが、働く大きな判断材料になっているということだろう。
健康経営優良法人認定制度の考え方は元々、欧米の投資家が投資先を判断する際の項目の一つとして、経営者の健康状態を重視していたものから来ていると言われる。欧米では肥満など自己管理できない経営者に対する評価が低かった。経営者の健康は投資家にとってリスクになるという見方だ。さらに、経営者だけでなく従業員の健康状態も重要な判断材料であると考えられるようになったと思われる。その考え方が日本に入り、4年前からこの制度がスタートした。
健康経営優良法人認定制度のように、認定を受けることで中小企業のブランド力向上に役立つものは他にもある。例えば、女性活躍推進においては、女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な事業主は「えるぼし認定企業」に、子育てサポートに力を入れる企業は「くるみん認定企業」「プラチナくるみん認定企業」として認められることで、女性活躍推進や子育てサポート企業としてアピールすることができる。
他にも、こうした認定制度が存在する。中小企業には是非、活用してもらいたい制度でもある。
Trend&News Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.105(2020年3月号)
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