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広告代理店と漫画・アニメ企画会社が連携し「モーションコミック」の普及を目指す

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Trend&News   ■株式会社インテリジェンスキーマン ■ 株式会社デイリープランネット

モーションコミックという動画手法がネット上で増えている。漫画など静止画に声や音を入れ動かすもので、漫画と動画の良さを備えた手法でありながら、製作費もフル動画に比べて安価にできるとあって動画での発信を迫られている中小企業からも注目されている。

インテリジェンスキーマン社長の小林秀幸氏
デイリープランネット社長の金氏誠氏

アプリやQRコードでネット情報に直接アクセス

近年の通信技術の飛躍的な発達によって、情報を収集、発信する手段はネットが主流となった。子供から大人まで欲しい情報があれば、まずネットにアクセスする。そして、情報元のサイトを閲覧したり、他の情報と比較、口コミを読んだりして自分なりに評価し、納得すれば購入などの行動に至る。
つまり、ネット戦略が集客や売上、ブランド価値を大きく左右する時代になったということだ。発信する情報をより多くの人に見てもらうためには、検索サービスで上位表示されることが不可欠とされ、資本力のある大手企業は、より多くの閲覧数を獲得するために検索エンジン対策に巨額を投じてきた。

ところが、最近はアプリやQRコード(マトリックス型二次元コード)の利用が浸透したこともあり、ヤフーやグーグルといった検索サービスを経ずにダイレクトにネットのページへと誘導できるようにもなった。そうなると、サイトを訪れた閲覧者に対し、閲覧者が望む情報をいかに伝えるかが重要になる。

動画での差別化をどう実現するか

ネットでの発信は、文字と写真が主流だったが、技術の向上によってスマホやタブレットでもストレスを感じることなく音楽や動画を楽しめる環境が整い、動画コンテンツは様々な分野で増えている。動画を配信するユーチューブなどのプラットフォームも増え、様々な動画コンテンツを手軽に見ることができるネットの世界は、ますます我々の生活や企業活動に対して大きな影響を与えるようになっている。
ネットは、テレビや紙媒体とちがって、表現できる時間やスペースに制限がない。当然、ネットでの動画コンテンツは広告や企業イメージ向上のための広報活動にとって有効であると判断する企業が増えた。今や動画コンテンツを持つことは情報発信者にとっては避けて通れないものになったといえるだろう。プロが制作したプロモーション動画から一般人が制作したものまで、様々なものが登場しているが、これからは、動画での表現にもクオリティの高さや表現方法で差別化を図ることが求められる時代になる。

動く漫画「モーションコミック」

表現方法の差別化の一つとして最近、「モーションコミック」が注目を集めているようだ。モーションコミックは、漫画など静止画に動きを付け、声優が吹き込んだ音声や効果音、BGMを加えて演出する動画のことである。静止画の漫画とアニメーションの中間的な存在ともいえる。
実際にモーションコミックを閲覧すると、漫画のコマ毎に画像が現れる。会話やナレーションが入る際は、文字が表示されるのに合わせて音声も流れる。音声と効果音、音楽などが流れると静止画でありながら動画として楽しめる。ネットならではの手法と言えるかもしれない。
最近は、大手広告代理店もモーションコミックの市場性を見込んで新会社を立ち上げるなど、その市場は今後拡大するものと思われる。

モーションコミックのイメージ

中小企業も活用できる価格帯

地元でも広告代理業の㈱インテリジェンスキーマン(福岡市中央区、小林秀幸社長)と漫画、アニメーションの企画・製作を手掛ける㈱デイリープランネット(福岡市中央区、金氏誠社長)が連携し、モーションコミックの普及に向け動き出した。インテリジェンスキーマンは広告代理店として、取引先への提案や新規顧客の開拓に有効な商品であると位置づけている。一方、デイリープランネットは、これまで数々の漫画家や出版社、メディアの依頼に応えてきた実績がある。プロの漫画家や声優との幅広いネットワークを持ち、こうしたプロが表現できる場を広げたいと考えている。両社がお互いの強みを生かしてタッグを組むことで、市場を創造しようというものだ。
モーションコミックは、視聴者にとって、
・文字だけの情報よりもわかりやすい
・人物や商品などが漫画で表現されているので、自然と見入ってしまう
・スマホで視聴できる
・会話やナレーションが文字でも表示されるので、マナーモードでも視聴できる
というメリットがある。

発信する企業側としては、
・製作費を既存メディアやフル動画よりも安価に抑えられるため、中小企業でも使える
・短期間で制作できる
・プロの漫画家や声優の表現力のおかげで、質の高い内容を提供できる
・SNSでシェアされやすい
・印刷物との同時展開による相乗効果を期待できる
・社員など人を使わないので、労使問題などを気にしなくてもよい
といったことがあげられる。

両社が提供するモーションコミックは、取材からコマ割やセリフを入れたネームを作成した後にプロの漫画家が絵を描き漫画を完成させる。そして、漫画に声優が声を入れ、BGMやナレーションを加えて完成させる。

動画は、希望するユーチューブチャンネルなどにアップすることができる。プロモーションは、SNSやQRコードを配布し動画サイトへの誘導を図る。一本三分程度の動画を中心に企業や自治体、士業といった専門家など幅広い分野に対し、差別化を図るネット媒体としてサービスを提供する。価格は、一本四五万円(税別)から。

差別化のポイントはシナリオ力

小林氏は、「我々のモーションコミックは、当然、プロの漫画家や声優による表現力の高さを提供できますが、最も強みを発揮できるのは、視聴者を引き付けるシナリオづくり」だと言う。小林氏が強調するように、動画作品として見てもらい、なおかつ、伝えたい情報を的確に伝えるためには、表現力に加えてシナリオが面白くなければ、途中で飽きられてしまう。その点、デイリープランネットは、これまでの漫画やアニメ作品のプロデュースを手掛けてきたことから、シナリオなどのストーリー作りは得意としている。

モーションコミックは民間企業だけでなく、行政での採用例も増えている。文字だけでは表現が難しく、実写映像だと押し付けられる印象を受けると敬遠する人に対しても、漫画が心理的なクッションとしての役割を果たしているのかもしれない。短い時間で内容をダイジェストで表現し、興味を持ってもらう。そして、さらに詳しく知りたい人には、ホームページで詳細な説明を知ることができるように誘導すれば、ホームページとの相乗効果も期待できる。

Trend&News  Navi(ビス・ナビ)Vol.129(2022年3月号)

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