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いよいよ人生を掛けて取組むときがきた

弁理士よもやま話


弁理士よもやま話  ■加藤合同国際特許事務所 会長  加藤 久

コロナが変異しまだ猛威をふるっている。日本で最初の患者が発生して2年を経過しても未だ終息の気配が見えない。如何に医学が進歩しようが、偉大な自然の前には人間の智慧などひれ伏すしかないということであろうか。コロナに限らず、人生において予測しないことが時々起きる。

私のこの3年間がまさにそのような状況であった。体力には自信があったが、長年の通風が悪化し、それも両足同時にという状態が続いた。健康体であれば、だれでも特に意識せずに立ち上がり、自然と歩くのであるが、それができないのである。
そのような状態からやっと抜け出し、昔の70%程度の体力は取り戻すことができた。思ったように動けない中で、もし元気に歩くことができるようになれば、今までお世話になったお客様の事業化支援に協力したいと思い続けてきた。

ここでも幾度となくお話をしたことであるが、私はこの30年間で、一万件近い特許に携わらせていただいた。そしてそれを振り返ってみたときに、そのような膨大な特許がどれだけお客様の売上に貢献し社会に役立っただろうかとの疑問が常にあった。
おそらく、恐らくであるが、400万社あるといわれているほとんどの事業所のトップは、自分の事業を成長させたいと思っているはずである。私がお会いする多くの人が、「他社との無意味な競争に巻き込まれない、価格決定権のある商品やサービスを持ちたい、そのために特許を取るのだ」と言われる。

しかしながら、現実にそのような強みをもった商品やサービスを持ち、事業を繁栄させている人はほんの一握りに過ぎない。考えに考え抜いて、どうすればそれが実現できるか、私なりの一つの結論に達した。マーケティング情報を収集分析し、これから有望で、大企業が入ってこないようなにニッチな分野を見つけ(第一のポイント)、そこに投入できる他社がまねのできない顧客目線の商品やサービスを作り(第二のポイント)、そしてどこで利益を出すかその商品やサービスを活用したビジネスモデルを構築し(第三のポイント)、戦略的プロモーションでその商品やサービスを一人でも多くのお客様に知っていただく(第四のポイント)、中小企業でもこのようなことができたなら、きっと成功の可能性は高まるのではないか、と考えた。

ところが、開発力があるような技術系の企業は、得てして視線がお客様を向いていないことが多い。私はこの30年間に幾度となく聞いた言葉、それは「こんなに良い商品は買わないやつが悪い。」。何とも滑稽な話であるが、技術に自信があるところほどそのような傾向が強い。これではなかなかお客様の心に響く商品開発やプロモーションなどできるはずも無く、開発と事業化は同一人物には難しいという結論に至った。

では、どうすれば良いか。客観的な目でマーケティング情報を収集し分析(ここがポイント)する人、その情報を元に競争力のある商品やサービスを作り上げる人、顧客心理を考え、売れる商品、サービスにまで高める人、新商品、新サービスを一人でも多くのお客様の心に響くように伝える人、そして、そのような人たちをコーディネイトする人がいればよいと考えた。
そしてそのコーディネイター役をこの私がやろうということにした。

今年は、その試みを、3つのケースでスタートさせた。一つは「電磁波の健康被害を軽減できる商品」、二つめは「超音波活用商品」、三つめは「生ごみ処置に関する技術」である。 おそらく思った通りは行かないであろう。思いもかけないことが起きるに違いない。私の考えが正しいのか間違っているのか、どのような問題が生じるのか、どこをどのように修正すれば事業成功に導くことができるのか、徹底的に検証し、数年以内に、新商品開発から事業化まで一つのシステムとして完成させ、私の思いと共に、後進に引き継いでいきたいと考えている。

弁理士よもやま話  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.128(2022年2月号)

プロフィール

加藤 久(かとう ひさし) 
加藤合同国際特許事務所 会長 
1954年福岡県生まれ。佐賀大学理工学部卒業後、福岡市役所に勤務。87年弁理士試験合格、
94年加藤特許事務所(現:加藤合同国際特許事務所)設立。2014年「知財功労賞 特許庁長官表彰」受賞、20年会長就任。
得意な技術分野:電気、機械、情報通信、ソフトウェア、農業資材、土木建設、無機材料、日用品など。

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