経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

良い会社かの判断のコツ

ビジネス徒然草

ビジネス徒然草  ■アネーラ税理士法人 統括 藤本 周二

いま日本経済は失われた30年と言われています。30年間ほとんどGDPが伸びていない現状があるからです。その原因は様々に言われれています。日本人自体が働かなくなったのが根本でしょう。なぜ働かなくなったのか。1つは非正規社員の増加が大きなものではないかと言われています。小泉内閣の時には非正規社員(いわゆる派遣含む)は好きな時に好きな仕事ができるとして脚光を浴びていた部分があります。もちろんその部分も今でも大きくあると思います。

ただ、非正規社員は増加して現在では比率が37%程度にもなっています。非正規社員の方へのアンケートでは好きな時間に働きたいとの事で非正規を希望もありますが、正社員になれないので非正規が増えています。企業側も正社員の人件費と非正規の人件費は結局は負担が違うので非正規で良いならとなります。もちろん非正規でもとても貢献され方もおられますのでここでの話はミクロではなくマクロの話です。

私は小さな会計事務所を経営していますが、会計事務所の経営として非正規社員をうまく使える会計事務所が伸びると言ったセミナーなども多くあります。会計事務所は社会の縮図的なものがありますから、利益を出すにはいかに低コストになれるか的な発想です。つまり非正規社員に頑張ってもらえると会社の利益が出る。DXと同じラインに非正規社員があります。

しかし、いつでもどこでも好きなだけ働ける発想の方々もしくはいつまで働くか不明の方々が会社の長期的な発展にどこまで寄与できるでしょうか。37%が非正規社員で会社の発展、つまり、お客様を継続的に喜ばすことができるのでしょうか。

そして、この非正規社員の増加は会社の姿勢にも表れてきます。現在の利益率が低く全然利益が伸びない会社を前提とするとコストをどうやって下げるかの発想になります。社長は昔は利益が出ていたが今は出ないのでやむを得ないと言います。この感覚が今の日本ではないでしょうか。そうすると、外注費、人件費などの削減という発想になります。購入消耗品もできる限り安くとなります。その結果,GDPは増加する可能性は低いという結論が出ます。そして所得も伸びないという循環になるのでしょう。

このような日本から脱却するには一つ正社員比率を上げてみたらどうでしょう。会社の経営者はやせ我慢しないと伸びるはずありません。
ちなみに、うちは小さな会計事務所ではありますが非正規をそもそも希望している方を除き全員正社員です。正社員比率90%です。ここからやせ我慢して頑張って成果を出して業界をリードして行きたいものです。
良い会社かの判断の一つに正社員比率を多くの人々が見ていけば少しずつ変わるでしょう。
経営者の皆さんやせ我慢されていますか?

ビジネス徒然草  Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.126(2021年12月号)

プロフィール

藤本 周二(ふじもと・しゅうじ) 【公認会計士】
アネーラ税理士法人 統括・東京事務所代表
1959年12月生まれ、福岡市出身、中央大学法学部卒。98年12月藤本公認会計士事務所を設立、所長に就任。2009年8月にエスペランサ税理士法人を設立し、理事長に就任。12年1月エスペランサコンサルティング株式会社、15年3月九州M&Aサポート株式会社、20年12月九州有限責任監査法人を設立。19年エスペランサ税理士法人をアネーラ税理士法人に改称。
信条:至誠天に通ず
著書:『社長の品格』(海鳥社刊)。

https://anera.or.jp/

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