経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

ケチより倹約家を目指したい

繁栄の法則

社長の知恵 

人よりも金を稼ぐことは難しい。モノが売れない時代、そして、ITが発達し金と力を持つ人のところに、より情報や金が集まる時代となった今、一部の人たちに富が集中するの傾向は加速するともいえます。
しかし、事業に成功した偉人達の多くは、金の使い方の難しさも指摘しています。なぜか。どのようなモノやコトに金を使ったかということが、社会的な評価につながることを自身の体験などを通して知っていたからでしょう。特に商売人、経営者は、金の使いについていろいろな場面で注視される機会が多いように思います。

昔の人は、倹約家は称えるがケチについては、批判的な目を向けてきたようです。
ケチと倹約家をどのように分けていたのでしょうか。
日頃から無駄な経費を使わないよう心掛けている点は、ケチも倹約家も同じです。しかし、ケチは貯めた金を自分の生活や趣味などのために使おうとする。一方、倹約家は、貯めた金を従業員の教育や給料、顧客へのサービス向上、社会貢献事業などに使おうとする。要は、使い方によって評価が分かれるということですね。ここでいえば、ケチより倹約家の方が、会社の評価は高まるといえるでしょう。

例えば、株式上場や会社を売却するなどして莫大な金を手にした2人の社長がいると仮定します。A社長は、手にした金でプライベートの充実とあらゆるテクニックを使い子供たちに莫大な資産を残します。一方、B社長は教育機関や地域文化の振興、災害復興のために多くの金を使いました。
A社長に問題があるということでありませんが、世間はB社長を高く評価するでしょう。よく、「自分も金があれば、世の中のためになる事業や文化的な活動に寄付したい」という発言を耳にしますが、金を持っている人が皆、社会のために自分の金を使えるわけではありません。

これは、生き方の問題です。費用対効果が判断の最優先事項となっているのであれば、1,000円の寄付も勿体ないと思うかもしれませんね。社会のために何かをしたいと考えているのであれば、寄付以外にも自分のできる範囲で何らかの行動を起こすでしょう。
B社長は成功する前から何かしら他人や社会に対して貢献することをやっていたはずである。

「それぞれの町には、その格に合った文化がある。それを育て守るのは商売人である」といった財界人がいました。文化水準が上がれば人が集まり、町が発展する。結局は、そこで経済活動を営む商売人にも利益をもたらすことになるということでしょう。

 商人道を追求する人には是非、陰徳も含めて倹約家的な発想を持ち、地域文化や福祉に貢献する意識を持ってもらいたいものです。

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<プロフィール>

宇野 秀史(うの ひでふみ)  ビス・ナビ編集人
昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。
著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)
URL https://www.chie-up.com

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