経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

経営に終わりはない…無限に器を大きくする

ビジネス徒然草  ■アネーラ税理士法人 統括 藤本 周二

よく経営書に書いてあります。自分に反対する者を近くにおけ、と。イエスマンばかりで周りを固めるな、とも言われます。多くの皆様がこの言葉をいろいろな書籍で読まれたことがあると思います。しかし、よく考えると常に自分の意見に反対する者を例えば経営幹部においておけば、経営の決定がなかなかできないのではないでしょうか。つまり書物のこの意見はきれいごとにすぎないか、もしくはもっと意味をよく考えることが必要ではないかと思います。

経営は見えにくい、答えも見えにくいものに答えを想定して進むことだと思います。
一つの仮説を立てる。いわば経営計画ともいえるのかもしれませんが、ある行動を行えばある結果が出る。これを積み重ねれば経営計画の目的を達成できる。この循環が常に会社の成長には不可欠であると思います。この仮説に失敗すればそれを糧として次の仮説を立てて実行する。この繰り返しが経営の重要事項ではないでしょうか。

会社が一定規模になると業務も分担制になってきます。そうすると適材適所という課題にぶつかり、そこでも適材適所ができるかという点について仮説を立てて実行していくことになります。この段階になると社長が実行にすべて関係しているわけではなく仮説の信頼性も他人の力が必要となります。この他人の力を間違えれば仮説も間違えます。すべて連関していきます。経営のレベルを上げなければなりません。合議制という課題が出てきます。この合議制の合理性は徹底した議論を重ねることにより、より実現可能な仮説を立てることにあります。

すなわち、ここでいわゆる自分に反対する者を近くにおけという経営本の言葉が出来てきます。 この意味を会社の成長の文脈でとらえると、経営者のみの判断では間違える可能性があるために他人の力を利用する観点で考える必要があります。そうすると社長の意見をある場合は補強し、ある場合は危険性を指摘し、仮説を是正するという立場が通常ではないかと思います。つまり自分の意見に反対する者とはそのような意味でしょう。

さらに、会社が大きくなると次の課題が出てきます。つまり、経営に終わりはないのです。この辺りで良いのかなと考えたときに会社は衰退に向かいやすいと思います。常に新しい仮説を立てて実行する。このサイクルを間違いなくやる。仮に間違えれば反省材料として次の仮説を立てる。実行する。経営者は無限に努力しなければならないのです。

ビジネス徒然草  Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.131(2022年5月号)

プロフィール

藤本 周二(ふじもと・しゅうじ) 【公認会計士】
アネーラ税理士法人 統括・東京事務所代表
1959年12月生まれ、福岡市出身、中央大学法学部卒。98年12月藤本公認会計士事務所を設立、所長に就任。2009年8月にエスペランサ税理士法人を設立し、理事長に就任。12年1月エスペランサコンサルティング株式会社、15年3月九州M&Aサポート株式会社、20年12月九州有限責任監査法人を設立。19年エスペランサ税理士法人をアネーラ税理士法人に改称。
信条:至誠天に通ず
著書:『社長の品格』(海鳥社刊)

https://anera.or.jp/



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