経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

あと1歩の踏ん張り

ビジネス徒然草

ビジネス徒然草  ■アネーラ税理士法人 統括 藤本 周二

私は仕事柄多くの経営者の皆様にも従業員の皆様にもお会いします。経営者はいつも人・モノ・金で悩まれています。特に人の問題については、人事が万事といわれるほど難解で厄介です。
人の問題は、満点はなくレベルの問題です。つまり、どんなに優れた経営者でも悩みは尽きないということです。

遠く戦国時代を振り返ってみても天下を統一した豊臣秀吉が亡くなるとどんどん離反していきます。
みな自分がかわいいのです。特に徳川家康は秀吉から領土をもらったとの意識が低いので離反も早いです。
もともと秀吉に恩恵は受けていないので合わせてただけでしょうし。関ヶ原の合戦は秀吉が亡くなってから数年で起きています。つまり天下を取っても数年で人の心も変わったとも言えます。自分の身を守るためにみんな動いているから当然とも言えます。

明治維新を見ても徳川幕府の時代に領土をもらっていない薩長が同盟を組み幕府を倒していきます。つまり、最も恩恵を受けていないものから裏切っていくもののような気がします。
最もすべての場合に当てはまるのではなく確率論です。

一方、この戦国時代や明治維新を逆から見てみると気づくこともあります。豊臣家や徳川家から大切にされた大名は一定の確率で最後まで忠誠を尽くしています。加藤清正も関ヶ原では徳川家康の味方をしましたが、その後は豊臣秀頼を守ろうとしたため毒殺されたといわれています。

このように考えると確率論ではありますが、恩恵をたくさん受けた人ほど裏切る確率が少ないともいえると思います。これは確率論であり、関ヶ原の合戦でも秀吉の恩恵を最も受けていた一人である親戚筋とも言われた小早川秀秋が裏切っていることからも明らかです。

私が言いたいのはこのように人の心は様々であり、最もかわいがった人間が裏切ると最も反抗することが多いのも人間です。そうだとしても、人にギバーズ、いわゆる恩恵を与えていかなければ経営は成り立ちませんし継続できません。

私は、利益はお客様の満足の合計だといつも思っています。経営が続くかはお客様や後に続く従業員への果てしないギバーズの積み重ねではないかと思います。
どんなに裏切られても、前に進めてギバーズを提供できる人になれればその会社も継続していけるのではないでしょうか。

よく100年企業のノウハウ本が本屋さんで売っていますが、人間の寿命を超えた継続した経営はとても大変であり素晴らしいことです。
皆さんはどう思われますか?

ビジネス徒然草  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.101(2019年11月号)

プロフィール

藤本 周二(ふじもと・しゅうじ) 【公認会計士】
アネーラ税理士法人 統括・東京事務所代表

1959年12月生まれ、福岡市出身、中央大学法学部卒。98年12月藤本公認会計士事務所を設立、所長に就任。2009年8月にエスペランサ税理士法人を設立し、理事長に就任。12年1月エスペランサコンサルティング株式会社、15年3月九州M&Aサポート株式会社、20年12月九州有限責任監査法人を設立。19年エスペランサ税理士法人をアネーラ税理士法人に改称。
信条:至誠天に通ず
著書:『社長の品格』(海鳥社刊)。

https://anera.or.jp/

コメント

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