経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

出迎え3歩、見送り7歩

当世ビジネス芯話

当世ビジネス芯話  ■編集人 宇野 秀史

「出迎え3歩、見送り7歩」は、はやり大事だ。「お迎え3歩、お見送り7歩」と表現されることもある。サービス業の研修などで、よく使われる言葉のようだ。新しくお客を出迎える時は丁寧に接するが、帰るお客には気配りが掛けてしまうことへの戒めの言葉でもある。それだけに、丁寧に見送られると、感動を覚えるお客も少なくない。
しかし、最近では出迎え3歩、見送り7歩を行っているところは少ない。忙しさにかまけて、おざなりになってしまうのだろうか。人手が足りないのだろうか、出迎え3歩すらなく、歓迎されていないのではないだろうかとさえ感じるときもある。

最近、出迎え3歩、見送り7歩の効果を改めて教えられた。教えてくれたのはカフェのオーナー、しかもフランス人だ。先日、以前から気になっていたカフェに立ち寄った。閉店まであまり時間がなかったが、コーヒーをいただいた。酸味の効いたコーヒーがチョコレートとよく合って、美味しかった。
興味がわいたので、オーナーと少し話をした。気さくで優しい、その人柄が店の雰囲気に表れている。

閉店の時間が迫ったので、会計を済ませて店の外に出ると、私が最後のお客だったからなのか、オーナーが店の外まで出てきて見送ってくれた。カフェで見送られるなんて、と思いながら途中で振り返ると、彼はまだ見送ってくれている。結局、姿が見えなくなるまで店の外に立って見送ってくれた。ちょっとしたことだが、気持ちが良い。「近いうちに必ず行こう」と自分に言い聞かせた。

会社によっては、来客を外まで見送りに出ることを当たり前と考える会社がある。今どき合理的ではないと考える経営者もいるだろうが、見送られる人は有難いと感じる。そういうところに、信用の種が落ちているように感じるのは自分だけだろうか。
「出迎え3歩、見送り7歩」は、個人の付き合いでもいえることだ。コロナ禍で人と会う機会が制限されているが、こういう心配りは忘れずにいたいものだ。

当世ビジネス芯話  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.119(2021年5月号)

➤ 他の「当世ビジネス芯話」の記事を読む

プロフィール

宇野 秀史(うの ひでふみ) 
ビス・ナビ編集人

昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。

著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)

コメント

タイトルとURLをコピーしました