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『まるがいいっ』

絵本に学ぶ仕事術

絵本に学ぶ仕事術  ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子

「思い込んだら試練の道を~」
巨人の星の主題歌~ゆけゆけ飛雄馬~の歌いだしの詞。

新しい年を迎えるために、まず要らないものを捨てる大掃除を経てもなお残るのは、思い込みであろう。その思い込みは、かくも美しく滑稽なのかと思わせる絵本『まるがいいっ』。

この絵本は、絵本界をけん引している林木林さん、庄野ナホコさんコンビの作品だ。よく耳にする「大人の絵本」の佇まいをしている。
この2人の作品は、どれも鋭く心に突き刺さる。人間の本質を暴くような鋭いテーマを持ち、寓話的な要素が強く、じわじわと人の滑稽さを映し出すパロディ仕立ての内容で大人を惹きつける。
その中で2024年の始まりに選んだ絵本は、韻を踏んだ言葉遊び、そして、計算された構成と、そこに、柔らかく軽快な色調の美しい絵で描かれた『まるがいいっ』。
絵もかわいいが、タイトルも小さなこどもが駄々をこねている感じでキュートだ。

物語は、誰が言いだしたかわからないが、いつの間にか「まるがいい」というマジックにかかってしまった社会を描いている。動物たちを擬人化しているが、これは間違いなく現代を象徴している。
まるくさえすれば、売れる、売れる。誰もが惹きつけられる。
だから、何もかもがまるくなる。家だってまるい。でも、まるは転がっていく。不安定な形だ。やがて、まるは三角にとってかわられる。

組織の中にも、この現象はある。知らず知らずのうちに、いえ、音もなく蔓延む「思い込み」。この思い込み、枠組みを外し、新しい気持ちで出発できる機会。それが一月だ。
「こうでなければならない」「ずっとこうしてきた」「今更!」「だって、こうするしかないでしょ」違うと気づいて三角になればいいけれど、巧妙に隠され、そこに定着しようと力さえ持つの思い込みを、2回目の新年節分までに取り去っておこう。思い込みは、間違うと試練の道になる可能性だってある。
まずは、全員が共通に課題として認めることから、パラダイムシフトが始まるのだから。

『まるがいいっ』  
作 :林 木林
絵 :庄野ナホコ
発行:2022年9月
発行:小さい書房

「絵本に学ぶ仕事術®」   Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.151(2024年1月号)

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プロフィール

三宅 未穂子(みやけ みほこ) 
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

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