絵本に学ぶ仕事術 ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子
この絵本には「みんなをささえる はたらく人たち」のサブタイトルがついている。主人公の女の子の目線で進む、見えないところで暮らしを支える仕事と働く人の物語だ。
外が暗くなって、夜寝る準備をするころ仕事にいくママ。同じように夜働く人たちが次のページから続いている。
それはビルの清掃、警備員だったり、街の安全を守る警察官の仕事だったり。世界中のニュースを配信するテレビ局もライブ演奏者も、スーパー、運送業、パン屋さんも、夜の仕事だ。ママは、夜働く人たちが乗るバスの運転手。
どのページも、夕陽と朝陽のオレンジがアクセントになっていて、それは暗い夜働く人のエネルギーであり心の温かさのよう。この色使いから伝わってくるのは、働くって素晴らしいってこと。そんなことを考えながら、絵本を読んだ。
働き方の多様化が加速している。生き方に合わせて、正社員、常勤非常勤、派遣。さらには、副業・兼業。夜勤型といった労働時間など、自分に合った働き方を選べる。
選べる自由を存分に生かしている人もいるが、やむを得ず状況を受け入れて頑張っている人もいる。
しかし、どんな働き方であっても「働く」ことに違いはない。その仕事の尊さは全く同じだ。そして仕事の責任も同じ。パートさんだからと言って責任がないわけではない。
昨今では正社員の管理職が1人で、後は全員非正規雇用者という職場も珍しくなくなった。そういう職場では現場のパートさんたちは頼りになる戦力だ。仕事は、働く人すべてに責任と貢献が伴う。
肝心なのは、働き方が云々というよりも大切なのは仕事の成果を上げること。ならば、自分の強みを生かした仕事に就けたら最高だろう。好きな仕事、得意を活かした仕事が、たまたま夜なのか、短時間なのか。そこから働き方が決まってくるだけなのだ。
絵本の中の働く人は、誰もが「働く」を楽しんでいる。そして、どんな働き方であっても、どんな仕事だって尊いと言っている。
誰もが誰かのために働いていることを知る絵本。仕事を選ぶのは自分自身。
どうせなら、楽しく仕事しよう!と夜働く人たちから学べます。
『よるのあいだに・・・』
文 : ポリー・フェイバー
絵 : ハリエット・ホブディ
訳 : 中井はるの
出版社: BL出版
発行 : 2022年
「絵本に学ぶ仕事術®」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.144(2023年6月号)
プロフィール
三宅 未穂子(みやけ みほこ)
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。
コメント