経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

LIFE(ライフ)

絵本に学ぶ仕事術

絵本に学ぶ仕事術  ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 美穂子

LIFEは日本語に訳すると、「命、暮らし、人生」。言い換えると、命も暮らしも人生も英語では一緒くたになって言葉の真意は伝わらないことがわかる。
この絵本は、使わなくなったものと必要なものを交換する「ライフ」という店で繰り広げられる物語。
はじまりはおばあさん。おじいさんの遺した花の種を置いて、小さな写真立てをもらう。
次は小さな男の子。何度も読んで暗記してしまった絵本と花の種を交換。次は小さな女の子を抱いたお父さんとお母さん。使わなくなったペアのカップを、わが子のために絵本と花の種に交換。

このように、次々に大切な品物の交換…いえ「循環」が続いていく。
種が花になる春。種を持ち帰った人たちが育てた花がライフに集まってくる。最後はおじいさんの思いが届く。
色合いも優しく美しい。静かな表現ではあるが、各人の心の揺らぎさえ感じる絵本。

私は、この絵本で、「ライフに持ってきた、自分たちにとっては不要になった品に添えられるメッセージ」に着目した。このメッセージ、お客様に商品をお届けするときに添える言葉のことではないだろうかと思えるからだ。

店頭にお客様が入ってこられる。ほしいものを求める。包む、会計する、お渡しする。果たして、これでこの店のファンになってくれるだろうか。商品やサービスを届ける仕事に必要なことは、心を通わせるということだ。概ね、私たちがお届けしている商品やサービスは一品ものではない。誰もが買うことができる。しかし、その価値は用いる人によって違う。だから手にしてくれた誰かにとっての唯一のものになるように言葉を添える。たとえ食して消えてしまうものであっても、その食する時間が楽しいものであるように気持ちを添える。本当はお届けしている品物よりも、添える思いこそが届けたいものであることを忘れてはいけない。

「おいしくいただきます。」「お求めくださってありがとう」。この互いのありがとうの循環は、働く喜び生きる喜びに繋がっていくということも忘れたくない。 こうして、新しい価値を循環させるために、相手に寄り添い方を思い出させてくれる絵本LIFE(ライフ)。「命、暮らし、人生」が、輝きを増すために手から手に、届けたい思いがずっと循環する優しい社会でありますように。

『まLIFE(ライフ』
 作 : くすのき しげのり
 絵 : 松本 春野
出版社: 瑞雲舎
出 版:2015年

「絵本に学ぶ仕事術®」   Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.140(2023年2月号)

➤ 他の「絵本に学ぶ仕事術」の記事を読む

プロフィール

三宅 美穂子(みやけ みほこ) 
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

会社概要 | 社員研修プログラムなら、有限会社ウーヴルへ

コメント

タイトルとURLをコピーしました