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新しい時代の幕開け

弁理士よもやま話

弁理士よもやま話  ■加藤合同国際特許事務所 会長  加藤 久

平成6年3月1日、39歳の年に1人で初めた「加藤合同国際特許事務所」の代表を本年末で辞することとした。来年からは会長として代表の経営をサポートする。26年間9437日の長きにわたり事務所代表を務めさせていただいたことになる。

知的財産制度を取り巻く状況が激変する中で、経営的に大変なことの連続であったが、振り返ってみると、あっという間の26年間であった。これも多くの人のお陰に他ならない。お客様、所員をはじめ様々な面で私を支えたいただいた全ての方々にこころから御礼を申し上げます。

下のグラフはこの26年間の私の通信簿(売り上げの推移)である。 

まだまだ仕事が十分にできる余力を残した状態で、世代交代を決意したのは、以下の理由による。

  • 特許や商標等の知的財産権は10年、20年間継続するものであり、特許事務所経営者は20年後にも責任を持てる人材がやるべきと考えること。
  • 知的財産制度の活用が今までの大企業中心から中小企業へも浸透しつつあり、大企業とは異なる新しい発想と行動力で、中小企業への知財支援サービスを構築し積極的に提供していかなければならないこと。
  • まだまだ元気とは言え、65歳という年齢は多くの人がリタイヤする年であり、今後健康リスクは毎年高まっていく。代表を交代し側面からサポートすることで、私が突然仕事ができない状況になったとしても、その影響が最小にとどまるように元気なうちから準備をしたいこと。

次世代に引き継ぐにあたり、私なりにいろいろと考えた。加藤合同国際特許事務所は言うならば私が産み落とした子供同然であり、代表を辞したあとも、また死んで灰になってもどこかで見守る気持ちに変わりはない。だからと言って、形だけ代表を引いて実権を持つ院政を引いても全く意味がない。どのようにすることが後を任せる人たちに希望を与えやる気を起こさせることができるか、お客様のためになるか、必死に考えた。

そして以下のことを決めた。

  • 健康上の問題がなければ最長5年間は会長として経営をサポートする。
  • 次期代表のほかに経営に参画する者2名を指名し、合計3名で経営会議を構成し、ここで重要事項は決定する。私は意見を述べるが決定権はない。
  • 会長在任中と言えども、会長として不適切と判断された場合、経営会議の議決によりいつでも解任することができる。

 おそらく会長になっても心配事は少しも減らないと思う。とは言え、私がいなくなってもやっていける体制ができることは大きな安心である。そうなれば、この仕事に就いたときからの夢、私のライフワークである、「知財制度を活用した中小企業の活性化支援」にまい進することとする。1日1日、志半ばでいつ死んでも後悔の無い生き方をしたい。
新しい時代の幕開けである。

弁理士よもやま話  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.102(2019年12月号)

プロフィール

加藤 久(かとう ひさし) 【弁理士】
加藤合同国際特許事務所  会長

1959年12月生まれ、福岡市出身、中央大学法学部卒。98年12月藤本公認会計士事務所を設立、所長1954年福岡県生まれ。佐賀大学理工学部卒業後、福岡市役所に勤務。87年弁理士試験合格、94年加藤特許事務所(現:加藤合同国際特許事務所)設立。2014年「知財功労賞 特許庁長官表彰」受賞、20年会長就任。
得意な技術分野:電気、機械、情報通信、ソフトウェア、農業資材、土木建設、無機材料、日用品など。

加藤合同国際特許事務所|福岡で特許・実用新案・商標・意匠の出願は
福岡(九州)の特許事務所、加藤合同国際特許事務所では特許出願及び実用新案登録出願の代理業務や意匠登録出願、商標登録出願の代理業務を致しております。お支払いにはクレジットカードもご利用頂けます。

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