弁理士よもやま話 ■加藤合同国際特許事務所 会長 加藤 久
新年あけましておめでとうございます。
世の中ではコロナやコロナに起因する不況など、心配事も多々ありますが、そのようなときだからこそ、夢と希望をもって毎日を生きたいと思います。「夢」と言えば、新年になって初めて見る夢を「初夢」と言います。初夢の概念は諸説あるようですが、その一つに鎌倉時代から存在したとの説があります。平安時代後期に活躍した歌人・西行の歌集「山家集」には、「年暮れぬ春来べしとは思ひ寝にまさしく見えてかなふ初夢」という短歌が収められています。鎌倉時代では、節分から春分にかけて見る夢を初夢と定めていたようです。
なぜ「初夢」に特別の意味をもたせたのでありましょうか。現代において、昔ほど「元旦」が特別な日ではなくなったように、だんだんと初夢も毎日の夢と変とわらないようになっていくのでしょうか。
我々は昔から「夢」というものを非常に大切に扱ってきたように思います。一方では現実とは異なる、非常に儚いもののようにも捉えられ、また一方では、未来を投影するもの、また目標とすべきものとして、大事に扱われてきました。
旧約聖書の中にある「ここに光あれ」と同じように、我々の身の回りにある全てのもの、家も車も椅子も机も、全てのものが自然に発生したものなどではなく、家をつくろう、車を創ろうという、人の意志があって存在するのであります。
そしてその意志を形成するのが、人が心に描く強い思い、すなわち「願望」、「夢」なのではないかと思います。その意味で「夢」というのは現実を形作るのに非常に重要であることが分かります。
私は約30年前、特許事務所を創設した際、最初に作った事務所案内に「夢の実現」という言葉を掲げました。そして、何としてでも九州一の事務所にしたい、同業者が困ったときに相談に来るような事務所にしたいと、そのような事務所をイメージしました。
もちろん、思った通りに行かなかったことも多々ありますが、大きな夢を描いたことで多くの感動ある経験をすることができました。
当時、夢を実現するのに大切なことは、夢を実現した時のイメージを「一枚の絵」に描けるまで、明確にすることだと教わり、それを実行しました。
そのことに関し、つい最近、身震いするような凄い意見を聞くことができました。
夢を実現するために、一枚の絵のような明確なイメージを描くだけでは不十分であり、さらに突き進み、その絵の中に自分自身の意識が入り込まなければならないというのであります。
これは一枚の絵の中に自分を描くというような表面的なことではなく、意識そのものが絵の中に入り込み、その絵が作る世界感の中で、自由に動き回るということではないかと思います。
人の意識が表面意識だけではなく阿頼耶識(潜在意識)にまで入り込むと夢(思い)は実現するとも言います。また同じことでしょうが、、三昧(さんまい)の境地の中で、明確なイメージの中に意識が入り込むことができるとも言われております。
皆さん一人ひとりが、気高い夢を思い描き、その実現に向けて強く強く意志し、今年一年が、感動多き一年なりますよう願っております。
弁理士よもやま話 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.127(2022年1月号)
プロフィール
加藤 久(かとう ひさし)
加藤合同国際特許事務所 会長
1954年福岡県生まれ。佐賀大学理工学部卒業後、福岡市役所に勤務。87年弁理士試験合格、
94年加藤特許事務所(現:加藤合同国際特許事務所)設立。2014年「知財功労賞 特許庁長官表彰」受賞、20年会長就任。
得意な技術分野:電気、機械、情報通信、ソフトウェア、農業資材、土木建設、無機材料、日用品など。about:blank埋め込み URLサイトに表示したいコンテンツのリンクを貼り付けます。埋め込み埋め込みについてさらに詳しく(新しいタブで開く)このコンテンツを埋め込めませんでした。再試行 リンクへ変換
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