経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

『ふしぎな たね』

絵本に学ぶ仕事術

絵本に学ぶ仕事術  ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 美穂子

私は、中小企業の組織づくりのアドバイスを、企業に密着するスタイルで行っている。具体的には、経営者の「社員の幸せを願う気持ちが伝わっているだろうか?」という問いと、社員の「経営者は自分たちの声を聴いてくれているだろうか」という対局の声を通訳したり、その小さな溝に橋をかけたり、職場にあふれる「通じなさ」の解決のために仕組みづくりをしている。その時「例えばね」と、誰もが知っている寓話や絵本をメタファとして用いると、言葉の共通理解が高まり、言い違い・聞き違い・思い違いが減っていく過程に立ち会ってきた。
そこで、このページでは、職場のコミュニケーションに役に立てていただくことを願って、そのメタファとして使っていただく絵本をご紹介している。

今月は、建築家としても名高い安野光雅さんの「ふしぎなたね」を紹介したい。お話は、怠け者の男に、仙人が種を授けた。焼いて食べれば1年間何も食べなくてもおなかはすかないし、植えれば1個の種で翌年には2つの種ができるという。
1個を食べて1個を植える。これを続けたある年、このままでは何にも変わらないことに気付く。そこで1年だけ空腹を別のもので満たすことにして2つ植えた。いいことを考えたのだ。翌年は4つの収獲。1つを食べて、残り3つを植えるとその翌年は6つの種。内1つを食べて・・を繰り返す、数の計算の話が続く。やがて、家族ができ、さらに収穫が増えまわりに分け与える。10年目蔵も建つようになったころ、突然大きな災害で、すべてのものがきれいに洗い流され、結局残った10個の種で再出発する。

この示唆に富んだ内容にはいくつもの学びが読めてくる。その中で、私が最も心に残ったことは、この時代に生き残るために必要だと思えた箇所。それは、男が「このままでは何も変わらないと考え、その年は2つ種を植え、飢えを別のもので満たした」ここだ。さらに、続くなら、この時を境に種の数は増えていくのだが、災害にあう。そこからわずか手持ちの資源で立ち直る。この部分。まさに、今のことであり、慣れとは怖いという教訓ではないかと思った。

この困難な時代を生き抜くためにどうしたらいいのか、現場の声にじっくりと耳を立てて聴いていくことで、新たな問いが生まれ、そこからの対話が懸け橋となり、変化を生み出すことができるのではないだろうかと思った。

「絵本に学ぶ仕事術®」   Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.119(2021年5月号)

➤ 他の「絵本に学ぶ仕事術」の記事を読む

プロフィール

三宅 美穂子(みやけ みほこ) 
有限会社ウーヴル 代表取締役

2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

top - 社員研修プログラムなら、有限会社ウーヴルへ
変わろうとする力を後押しする 社内教育のしくみづくりをサポート 組織開発のお手伝い 詳しくはこちら 働く環境を

コメント

タイトルとURLをコピーしました