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『そらいろ男爵』

絵本に学ぶ仕事術

絵本に学ぶ仕事術  ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 美穂子

「あのね、大好きだよ」これはミーシャの『アイノカタチ』の出だしだ。代表的な『Everything』を含め、愛を歌うミーシャだからこそ心に響くものが大きかったのだろうか、東京オリンピック開会式での国歌斉唱に、「今年の君が代は格別に聞こえる」と、友人たちからメッセージが届いた。

先月紹介した絵本『ちよにやちよに』を手にしてくれた人たちだ。表彰式でも然り、いつも聞いている君が代と違って誇らしく思えたのは私も同じだ。「君が代ってトーンが低くて暗いと思ってたけど、イメージの書き換えができた!」。こんな声に、この出版は「知る」とはいかに人生を豊かする素晴らしいことかを改めて教えてくれた。「知る」ことは、新しい気づきを生む。気づきは、自分の固定概念や思考の枠を変える機会になる。その機会は、人との出会いだけでなく、本との出会いによっても得ることができる。絵本だからと侮れない。

今月は、この本の力を描いた1冊を紹介したい。自慢のそらいろの飛行機で空を楽しんでいた男爵のお話だ。
地上で戦争が始まった時、国民の1人として頑張るために、愛機で戦いに出ることになった。落とす爆弾のかわりに選んだのは、分厚い辞書12巻。人や自然を崩壊する爆弾とは違うが、命中すればきっと痛い。敵にダメージを与えるには十分かもしれない。

長引く戦争に、落とし方に工夫も必要だ。小説に、料理の本、思想の本、歴史物語、天文学の本。軽めの本にも、兵士たちは徐々に惑わされていく。男爵は持っていた本すべてを投下した後、最後の作戦に出る。これによって、戦いは終わりを迎えるのだ。どんな作戦か、どんな結果なのか、絵本をぜひ手にしてほしい。絵も戦争というテーマでありながらコミカルに描かれ、2頭身の男爵はかなりキュート。全体にスモーク調の色合いが大人の心にちょうどいい。

男爵は「知の集積」である本を使って戦争を終わらせている。現実にはあり得ないこと。だがそうだろうか。問うてみる。
「知る」ことはお互いを理解し合うだけでなく、視野を広げ新しい価値を生み出すこともできる。こどもが読める文字数の絵本でも、これまでの当たり前を十分に変えることができているではないか。もしかすると、組織の変わらなさに撃ち込むのは、「愛」と「知る機会」なのかもしれない。さしあたり、手始めはこの絵本だ!

「絵本に学ぶ仕事術®」   Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.122(2021年8月号)

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プロフィール

三宅 美穂子(みやけ みほこ) 
有限会社ウーヴル 代表取締役

2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

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