弁理士よもやま話 ■加藤合同国際特許事務所 会長 加藤 久
寒い冬を抜け出して、暖かくなりかけのこの時期が私は好きです。こどものころ、家の近くの小川で、まだ冷たい水の流れのすぐそばに芽吹く植物をみたときに、自然の偉大さに驚き、未来への限りない希望を感じたことを思い出します。
ビジネスもそうかもしれません。今コロナの影響で様々な企業が存亡の危機に立たされています。比較的好調といわれていた不動産関係でも、多くのマンションデベロッパの破産や、Teleworkの推進によるオフィス需要の減少など、じわりじわりと現実のものになってきました。しかしながら、永遠に寒い冬が続かないように、何時かは必ず、その状況も変化します。
では、我々は、今が過ぎ去るのをただ漫然と見ていればよいのでしょうか。いくら努力をしても人知の及ばないことは山ほどあります。でも、私は、そのような仮に人知が及ばないようなことであったとしても、1mmでも良い方向に進むよう、全身全霊を傾けて全力を尽くすべきだと思うのです。
今、国は様々な補助制度を設け、なんとか国内の産業とそれを担う企業を守ろうとしています。今回創設されました「事業再構築補助金」もその一つで、予算規模も「兆」レベルと巨大です。このような補助金を取得する意味は一体なんなのでしょうか。ただその場凌ぎでキャッシュを得ればそれだけでよいのでしょうか。
私は、そうとは思いません。補助金を活用することで、今回のコロナ禍のように、将来直面するであろう様々な経営課題に対し、それを乗り越えることができる、仕組みづくり、ビジネスを構築することであると私は思います。それが「一番たいせつなこと」であると思います。
そう考えたときに、何をしなければならないかは明確です。補助金はそれぞれの目的にそった異なる制度設計がありますが、その根底に共通してあるのは、対象企業の強みを生かして、社会に役立つ収益の上がるビジネスの仕組みをつくることです。そのためには、既成概念に捉われない、発想力、企画力というものが重要になります。
理想的には、その企業の強みを知り、それを徹底的に活用することが必須でしょう。ただ、人の顔がそれぞれ異なるように、企業の強みも抱えている課題も様々です。したがって、マニュアルに沿って進めば、「強みを生かしたビジネスの仕組みづくり」ができるかというと、決してそうではありません。
やはり。経営者の心に寄り添い、経営者の思いを活かしつつ、これに社会的な状況を加味して、新しい商品や新しいサービスに裏打ちされた新しいビジネスを構築していくことが必要なのです。
今後、私は、様々なスキルを持つ人と連携し、各種補助金の申請業務をはじめ、上記したサービスを提供してまいります。様々な機関が、補助金申請代行をしておられますが、我々はそれとは一味も二味も違う、ビジネスを成功に導くための、トータルの事業プロデュースサービスを提供して参ります。
また、補助金の申請代行をしておられる機関とはしっかりと手を取り合い、上記した経営課題を乗り越えることができる、仕組み、ビジネスを構築する部門だけを担当することといたします。
志ある方と、希望ある未来を一緒に作り上げていきます。
弁理士よもやま話 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.118(2021年4月号)
プロフィール
加藤 久(かとう ひさし) 【弁理士】
加藤合同国際特許事務所 会長
1959年12月生まれ、福岡市出身、中央大学法学部卒。98年12月藤本公認会計士事務所を設立、所長1954年福岡県生まれ。佐賀大学理工学部卒業後、福岡市役所に勤務。87年弁理士試験合格、94年加藤特許事務所(現:加藤合同国際特許事務所)設立。2014年「知財功労賞 特許庁長官表彰」受賞、20年会長就任。
得意な技術分野:電気、機械、情報通信、ソフトウェア、農業資材、土木建設、無機材料、日用品など。
コメント