ビジネス徒然草 ■アネーラ税理士法人 統括 藤本 周二
皆様に本雑誌が届いているころは新型コロナの緊急事態宣言の解除から1カ月程度は経過しているころかと思います。6月からは経済も少しずつ再稼働してきている状態かと思います。この新型コロナの影響はこの秋以降の第2波が来るという予想もあり当分の間は警戒をしながらの生活が続きそうです。
多くの企業や個人事業の方々が大きな打撃を受けています。もちろん自粛の名のもとに経済活動を止めているのですから当然の事かと思います。過去に例のない月次決算での赤字を計上している会社もあります。借入金がいきなり増加している会社もあります。倒産企業も増加していると聞きます。企業の90%以上が何らかの打撃を受けているのではないかと推定します。
郵便ポストが赤いのも電信柱が丸いのも社長の責任である、と明言を言われたのは炎の経営コンサルタントの市倉定先生です。市倉先生も今回のコロナ苦境も社長の責任といわれるのだろうかと最近思います。
リーマンショックの時は私社長の責任であると明確に思えました。株価や経済状況を見ると予想可能な部分もあったからです。
では、今回の新型コロナはどうなのか?私は今回のコロナは疫病であり、ここまで社長の責任と考えるのは過酷ではないかと思っています。むしろこのような疫病のケースこそ国家の責任ではないかと思います。国家が企業を支援するというよりも企業の先にある国民を支援するケースではないかと言う事です。今回のコロナをリーマンショックと比較して論じる政治家の方々もいますが場面が全く異なるのではないかと思っています。
しかし、政府は今回の件で国民の面倒を見れるものではないことも明確になりました。そこで自助努力をしなければならないのです。
そう考えると、市倉先生のおっしゃった郵便ポストが・・・・という名言も今回のコロナの影響に対しても社長が責任を持たなければならないと考えざるを得ません。
つまり、社長は疫病までをも想定して経営をしなければならないと言う事です。厳しい現実ですがそのように考えないと答えが見つからない状況です。
そうすると当面、社長は売上なくとも1年分の経費を負担できる程度の資金を持つ必要があります。あるいは融資を受けれる体制を少なくとも持っておかなければならない。今以上にキャッシュフロー経営を重視して安定経営を目指さなければならないと言う事です。
投資よりも内部留保と言う事では決してありませんが十分な内部留保を前提としての投資判断ということが肝要ではないかと思います。利益率・利益額がとても重要な経営指標になるかと思います。
ビジネス徒然草 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.109(2020年7月号)
プロフィール
藤本 周二(ふじもと・しゅうじ) 【公認会計士】
アネーラ税理士法人 統括・東京事務所代表
1959年12月生まれ、福岡市出身、中央大学法学部卒。98年12月藤本公認会計士事務所を設立、所長に就任。2009年8月にエスペランサ税理士法人を設立し、理事長に就任。12年1月エスペランサコンサルティング株式会社、15年3月九州M&Aサポート株式会社、20年12月九州有限責任監査法人を設立。19年エスペランサ税理士法人をアネーラ税理士法人に改称。
信条:至誠天に通ず
著書:『社長の品格』(海鳥社刊)。
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