絵本に学ぶ仕事術 ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子
今回で142冊目の「絵本に学ぶ仕事術」のエッセイ。実は、絵本と仕事について書き出して17年になる。しかし、毎月読んでくださる方の中には、未だ書いている本人は何をしている人なのか、不明に思うことがあったのではなかろうか。
この度、7月24日『絵本はマネジメントの教科書』(著:三宅未穂子/出版:みらいパブリッシング)を全国の書店に並べていただくこととなり、ようやくそのあいまいさを打破できるように思う。
今月はこの本から絵本に学ぶ仕事術を届けたい。
6月の終わり、来社した銀行の渉外担当者に、『よるのあいだに』が掲載されているビズナビ6月号を手渡す機会があった。この担当者は希望して営業職になったほど、前向きでやる気に満ちている女性だ。後日、わざわざ立ち寄ってエッセイにある「誰もが“働く”を楽しんでいる」について、次のように話してくれた。
「自分はこの通り働くことが楽しい。だから成長したいと思うし、挑戦したいと考えている。しかし、ほとんどのケースではただ働いている人たちが多いことを、同級生と話していて気が付いた」。
日本は、「従業員エンゲージメントの国際比較」でも世界最低。さらに東アジアに絞ってみても最下位。(経済産業省-人的資本資料参照)。しかも、中小企業の現実は少子高齢化、デジタル化、グローバル化、そして日々変化する社会情勢と戦っている。働き手に望むことは多い。しかし経営TOPの声と現場の溝は大きく、人手不足の原因の一つにある「伝わらなさ」に悩む企業をこれまでも多く見てきた。
注目したのは、聞き手は経験に基づいて聞いていること。例えば一緒に映画を観る。その映画についてあれこれ話すことで、相手の考えを理解できる。映画のセリフが共通言語となる。分かり合える領域がぐんと大きくなる。これを追体験という。
いい仕事のために選んだ絵本の「絵とことば」は、この職場の追体験に最適なのだ。さらに、人それぞれの個性があるからこそ、絵本のわかりやすさが有効なのだ。
ここでは、絵本のマネジメント力を抜き出して「こんな読み方できます」を発信している。その実例を示した本が今回上梓した『絵本はマネジメントの教科書』だ。
全員が「働く」を楽しむために絵本で学ぶ有効性を知っていただくと、来月からもっと絵本が面白く感じていただけるかもしれない。
『絵本はマネジメントの教科書』
著:三宅未穂子
出版:みらいパブリッシング
発行:2023年
「絵本に学ぶ仕事術®」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.146(2023年8月号)
プロフィール
三宅 未穂子(みやけ みほこ)
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。
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