妊活社長の健幸経営応援団 ■ 株式会社ウイッツジャパン 代表取締役 長谷川 幸二
2022年4月に、いわゆるパワハラ防止法が中小企業にも義務化されました。ハラスメントを放置すると「職場の雰囲気が悪くなる」「生産効率が下がる」「優秀な人材が離職する」「訴訟リスク」など大きなリスクが生じることもあり、対策に取り組む企業が増えました。ハラスメントは現在36種類以上あるともいわれますが、代表的なものがセクハラ、パワハラ、モラハラです。
ハラスメントの問題は職場だけでなく、モラハラは家庭でも深刻な問題となっています。
モラハラと聞くと、夫から妻への暴力や嫌がらせと思われがちです。しかし、意外かもしれませんが、2020年の司法統計によると、性格の不一致を除くと、夫が離婚を決断した理由の1位は“妻からのモラハラ”です。「話しかけても無視される」「何を言っても否定する」「稼ぎが悪いクセに偉そうにするな」「男のくせに女々しい」「役立たず」など妻から受ける人格否定や、子どもに「パパみたいにならないようにね」といった悪口も含まれます。書いているだけでも凹みそうな暴言ですね。最近は、離婚専門家へのカウンセリングも3割が夫だという衝撃の事実もあります。
そもそもモラハラはDVと違って、目に見えて被害を受けていることが分かりにくいという特徴もあります。そのため周囲にいる人も気付かず、本人ですら精神的に病んでしまうまで分からなかったということもあります。
「人に自分の弱い部分を見られたくない」「自分は妻にモラハラされている弱い男だと認めたくない」という男性特有の心理も、離婚の決断に至るまで悩みを相談できないという事態を生んでいるのかもしれません。
もうひとつ、働き方の変化も原因だといわれています。結婚や出産後も働く女性が増え、家事や育児と仕事との両立を求められた妻は、昔より大幅に負担が増え、自分の自由になる時間は減っています。それにあわせて夫への要求するレベルも高くなっています。
一方で、男性が家事や育児に真摯に取り組んでいないと、妻の不満は蓄積されてしまいます。妊活、妊娠、出産、育児、家事など家庭内での出来事に対して、妻に押し付けることなく、妻のいうことに耳を傾けていれば防げていたケースは多いようです。もちろん原因はその他にもあることもあります。もともとの性質や環境かもしれません。
離婚や夫婦の問題は、企業にとって直接関係ありませんが、仕事の効率やモチベーションにも大きな影響を与えます。時代の変化で男性が生きにくい時代になったのかもしれません。今後も働き方やハラスメントと男女の性差についてお伝えしていきますね。
妊活社長の健幸経営応援団 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.134(2022年8月号)
プロフィール
長谷川 幸二(はせがわ こうじ)
株式会社ウイッツジャパン 代表取締役
1970年生まれ 2020年講師オーデションファイナリスト(全国3位)、株式会社ウイッツジャパン代表取締役 医療機関のWEB制作会社の経営の傍ら、妊活アドバイザ、福祉住環境協会理事として、子作り、子育てから介護、SDGsなど社会課題にも取り組んでいる。
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