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青色申告特別控除

経営者と税理士と節税

経営者と税理士と節税   ■井上税理士事務所 所長  井上 伸一

ここ2年続けて、所得税確定申告の申告期限が1ヶ月延長し、4月15日が申告期限となっていました。今年の申告期限はいつになるのかと思っているところです。一応、3月15日が期限とお思い、仕事を進めていくつもりですが、心のどこかで「今年も伸びてくれればいいな」と思っています。所得税の青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その1つに所得金額から最高65万円または55万円、10万円を控除するという青色申告特別控除があります。

●55万円控除
55万円の控除を受けるための要件は次の通りです。
①不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
②これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般には複式簿記)により記帳していること。
③ ②の記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載すること。
④申告期限までに申告書を提出すること。
現金主義での記帳では、この55万円の特別控除は適用できません。現金主義とは、現金の入金時に収入とし、現金の支出時に費用とするものです。正規の簿記の原則は、発生主義での取引となります。12月末時点で、まだ現金を受け取っていない又は入金になっていないけれど売上計上しなければならないものや、まだ支払いをしていないけれど費用計上しなければならないもの等、認識する必要があります。

●65万円控除
65万円控除を受けるためには、55万円の控除の要件に加えて、次のいづれかの要件に該当しなければなりません。
①総勘定元帳等について、電子帳簿保存を行っていること。
②申告期限内に電子申告にて申告を行っていること。

●10万円控除
この控除は、55万円控除、65万円控除の要件に該当しない青色申告者が受けられることになります。
納税者自身が記帳して、適正に55万円の青色申告控除を受けるためには、高いハードルになっているように思われます。

経営者と税理士と節税  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.128(2022年2月号)

プロフィール

井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。

URL http://www.itax.jp/

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