経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

孤立させない

繁栄の法則

社長の知恵 

ネット社会になって、誰でも自分の情報や意見を発信できるようになったのは画期的で良いことです。しかし、一方で、直接顔を合わせない環境では、人は攻撃的になりやすいという一面もあるようです。SNSでは、当事者でもない人間が他人を批判する「いじめ」を助長する環境にあると思われます。
いじめは、人を孤立させます。孤立した人たちは、不登校や出社拒否などに陥り、学校や社会と隔絶することもあります。これは、大きな社会的損失です。

会社という組織においても孤立するケースをよく耳にします。例えば、プロジェクトを立ち上げ運営していくにはトリーダーを中心に物事を進めますが、他の部署との連携が必要になるものもあります。

熱意と責任感を抱いて取り組むリーダーは、周りの意識を高めようとコミュニケーションを図りながらプロジェクトをまとめようとします。しかし、リーダーの熱意と反比例するように、仕事が増えることに対して不満を抱く者、冷ややかに受け止める者、高みの見物を決め込む者もいるものです。
そうした負のエネルギーに阻まれて熱意を持ったリーダーも徐々に疲れを覚えます。

周りが動かないのは、違う方法を模索すべきだというヒントだともいえますが、孤立させる風土が組織に染みついている場合は問題です。普段のリーダなら、間違いは手法を変えるべきだろうということには気づくことができるかもしれませんが、余裕がなくなると、変えようとする判断すらできなくなるものです。
リーダーは孤立を感じ、心身ともに疲弊していきます。

組織の中で、孤立を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。本人のコミュニケーション能力を高めたり、精神的にもっとタフになれば良いのかもしれませんが、問題はそう簡単ではありません。

孤立を防ぐために有効な一つの方法は、仲間をつくることだと考えます。仲間とは同僚だけでなく、上司や後輩も含まれます。仲間がサポートしたり寄り添って話を聞き、協力するなどして支え合う関係を築くことが必要でしょう。組織であれば、そうした風土を醸成していくことが求められます。

そのためには、会話が必要です。面と向かって話すこと。互いを認め合った中での関係を築いていかないと、孤立はなくなりません。残念なことですが、組織内での孤立はさらに増え、問題になると思われます。経営者には是非、組織内の孤立を防ぐ意識を持ってもいただきたいですね。

<プロフィール>

宇野 秀史(うの ひでふみ)  ビス・ナビ編集人
昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。

著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)

コメント

タイトルとURLをコピーしました