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噂話への対応でも品格を問われる

繁栄の法則

社長の知恵 

噂話といっても良い話であれば、それほど気にすることはない。注意しなければならないのは、悪口や誤解だと思われることを言われた時だ。「社員には公私混同をするなと経費の使い方などを厳しくいうくせに、自分や専務である奥さんの経費の使い方については公私混同も甚だしい。自分や身内にとても甘いため社員から信頼されていないとAさんが言っていましたよ」、或は、「Bさんが、あなたのことを約束も守らない、信頼できない人物だと言っていました」などと知人から言われた時などの対応である。

この時、どのような反応をするかで人としての器を見られることもある。噂話を持ってきた人はAやBが陰口をたたいていることを心配して伝えてくれたのかもしれない。そのような場合は、その人の話を真摯に受け止め、間違っていれば正せばいい。しかし、噂話を持ち込んでくる人の中には、とにかく噂話が好きで根拠も確かめずに話す人や、噂話や陰口を周りの人に発信することで自分の地位が上がると考える人もいる。

こういう人たちへの対応は、結構難しい。明らかに間違っている場合は、間違いを正せばいいが、そこで感情的になってはいけない。売り言葉に買い言葉で、こちらもAやBの悪口や陰口を言ってしまうかもしれない。そうすると、そういう人たちは、また同じようにAやBの所に行って、同じようにあなたが陰口を言っていたという。場合によっては、一連の話しを関係者以外に吹聴してまわることだってある。

では、どのように対応すべきか。その話題には一切触れないという対応もあるだろう。おススメする対応は、噂話を持ってきた人に対して、あなたがAやBのことを褒めることだ。彼らは、人間的にも素晴らしく、人の悪口をいうような人ではないということを事例もあげながら褒め続けるのだ。

そうすると、噂話を面白半分程度の気持ちで持ち込んできた人は、自分の行動を恥ずかしく思うようになる。AやBよりもあなたの方が大人であると評価するようになるだろうし、AやBが言ったことよりもあなたの言葉を信じるようになるのではなかろうか。この話がAやBに伝わると、自分は悪口を言ったのに相手は自分の悪口をいうどころか、ほめてくれたと思い、軽々しく悪口をいった自分を恥じるだろう。

悪口に悪口で応酬すれば、あなたへの評価はAやBと変わらない。しかし、悪口ではなく褒め言葉で返せば、あなたの評価はより高いものになるし、信用度、信頼度も高まると思われる。人の陰口は厳に慎むべきだし、自分に対する噂話も評価に変えてしまうぐらいに格を上げることも必要ではなかろうか。特に品格も求められ鵜経営者には、心してもらいたいものである。

<プロフィール>

宇野 秀史(うの ひでふみ)  ビス・ナビ編集人
昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。

著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)

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