エンタメのチカラ ■レジリア 代表 西 高一郎
この原稿を書いている2021年3月下旬現在、東京オリンピック・パラリンピック2020の開催について海外からの観覧者を受け入れない方針が決定され、さらに海外からの主力選手の来日について心配や検討が行われていると各局が報道しています。開催方法やどんな選手が来日可能かはとても気になるところですが、実はここで僕が注目している部分は少し異なります。
世界的イベントの開催をすることが前提でありながら、海外組の観客が受けいれ不可(場合によっては選手も不参加かも)の中、この巨大な世界的催事を主催として、開催模様を海外向けて確実に届けなければいけない事情がさらに増しました。届け先がないと事業としては回収見込みが立たないからです。TV放送は当然あるとして、その対局にオンラインでの届け方がどうなるかという点に注目していす。
催事の基本は、何かしら「目的を果たすために特定の日時に人を集めて空間と体感を共有させる場所を創出する」という点にあります。オリンピックの実施会場に人を集めずに大多数の人々へ届ける必要があるので、TVやインターネットでのオンラインで映像と音声を届けることになります。掘り下げると、映像と音声を流すだけであれば、それはTVが最強のツールであることは否定できません。(インフラの状況とスイッチひとつで視聴できる手軽さは最強)
同じ手法だけならインターネットでのオンラインの手法がそこに変わるとしても、伝え方自体がそれほど変わると思えません。運営の方向性が決まったことで、伝え方、見せ方を各メディアは一気に本番に向かって加速的に準備を始め、視聴者(観戦予定者)にその方法をリリースせざるを得なくなります。視聴環境とそのツールが多様化した今、そこには視聴者のシェア争奪戦があるからです。
おそらく世界中の知恵とお金を持つ人たちがあらたなビジネスチャンス的に動くはずなので、ここはかなりの注目ポイントだと考えています。
というより、これまでの投資をどう回収するかを真剣に再構築しないといけません。
オンライン技術は狭い範囲や少数むけではコストパフォーマンスが合わないが大勢、広範囲になると驚くほどコスパの良い使い方があり、技術開発にコスト(時間や経済面)をかける意味が生まれます。もしかしたら、これまでみたこともないアイディアが形になり僕らの前に登場することになるかもしれません。特殊な大会になることは間違いなく、世界のトップアスリートたちの全力で戦う姿を、これまでみたこともない方法で体験することが出来るかもしれないと思うとワクワクします。
オリンピックは世界最高峰のエンタメでありスポーツ産業(事業)です。世の中のいろんな出来事をこうした視点で見てみることも、新しい発見や刺激があって楽しいと思います。
エンタメのチカラ Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.118(2021年4月号)
プロフィール
西 高一郎(にし こういちろう)
レジリア 代表
1971年生まれ。長崎県佐世保市出身。佐賀大学卒業後、イベント企画や WEB製作に携わる。2012年5月レジリアを設立。イベント制作・運営を軸 にWEBコンサル、制作ディレクションを手掛けている。特に、イベント 製作・運営では、プロモーションイベント、スポーツイベント、講演会などを中心に企業単位のものから大型のイベントまでこなす専門家と して、九州内外から依頼を受ける。
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