会社と労務管理は表裏一体 ■中原労務管理事務所 所長 中原 正晴
現在、時間外労働については、残業代支払義務、時間外労働の上限規制、過重労働、メンタルヘルスの観点および賃金の消滅時効が3年に延長されたことからも適切に労働時間を管理することが求められています。
よくご質問をいただくのは、所定労働時間前のタイムカード打刻やパソコンログイン時間等です。労働者が所定労働開始時間に間に合うよう早めに出勤することを心がけるというのは、よくある一般的実態かと思います。裁判所も、始業については定時に間に合うように早めに出勤することがあるという一般的な実態を理解してくれているようです。所定労働開始時間前にしないと終わらない程の仕事量や締め切り期限などにより労務提供をするような場合以外は所定労働開始時間からの労働として管理していくことでいいかと思います。
そもそも労働時間は、会社の指揮命令下において会社から指示されて働いたものが労働時間となります。ただし、働いていることを知りながら、黙認していたような場合には労働時間とみなされる場合もありますので、ご注意ください。そのような労働者がいた場合は、本人へ個別に何をしているのか確認すべきです。仕事をしているとのことであれば、時間外で仕事をしないように、または時間外労働については事前に申請し、許可を得てからでないと認めないということを書面等で残す形で指示することが大切です。
人手不足問題や、コロナ禍において、人を雇っていくことは本当に大変なことと思いますが、これを機に業務内容、仕事内容を分析し、見つめ直すことで、少しでも仕事の効率化や役割分担化を進めることができれば、今後の時間外労働を少なくしていくことにつながっていくのではないかと思います。
会社と労務管理は表裏一体 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.113(2020年11月号)
プロフィール
中原 正晴(なかはら まさはる) 【社会保険労務士】
中原労務管理事務所 所長
福岡県糸島出身。昭和51年2月生まれ
某社労士法人事務所に6年間勤務後、平成23年4月に中原労務管理事務所設立。現在、行政協力をしつつ、リスク回避型就業規則の提案・助成金申請代行・創業からの手続代行を含む労務管理に関する相談の3本柱をメインに社会保険労務士として活動中。
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