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売上至上主義と同質性

ビジネス徒然草

ビジネス徒然草  ■アネーラ税理士法人 統括 藤本 周二

私が仕事柄多くの経営者にお会いしますし、私自身小さな会計事務所を経営する日本人でもあります。そこで感じるのが日本人の同質性です。会社経営で言えば売上至上主義とも言い換えることができます。どの会社も売り上げが増加すれば良い。言い換えると売り上げが大きい順に何となくえらい気分になっている。売り上げという概念で一種の同質性となっています。そうするとどうすれば売り上げが拡大できるかをみんなが同質的に考えるようになります。そこで生まれたのが日本独自の考え(私は勝手にそう思っています)である「良いものをより安く」という考え方です。皆が同質のため「良いものをより安く」という考えが世の中を支配しているため、独創性が受け入れられなくなります。そうするととにかく低価格でたくさん売るために低賃金、生産性向上、これらに注力することに会社の基本方針が流れていきます。

さらに徹底していくとどうなるのか?私は今の日本経済の低迷が一つの答えではないかと思っています。何か提案しても他より安いかが主たる論点とされる。そうしてより安い方に流れる。例えば、福岡にもリッツカールトンが出来ましたが、一泊10万円以上する。日本のホテルではその価格はつけれる風土にはないけれども外資系なら何となく認めてしまう。それが日本の姿ではないでしょうか。
ではどうしたらいいのでしょうか?

日本人の同質性や慎重性はなかなか変わるものではないと思います。ある方によれば大宝律令のころからそうだっただろうとの事です。そうすると売上至上主義からの脱却の考えを通説にできないかと言う事になると思います。例えば、「良いものをより高く」です。良いものを作るには人件費も相当かかりますし、教育の時間や労力も相当かかります。これらの努力により少し独創的なものが作れるとすればそれを高く売ることができれば経済は良い方に回る可能性が出てきます。つまり売上至上主義から価格至上主義、高くても売れるブランドづくりをみんなが同質的に目指す方向にできれば可能性があると思います。

私は少子化の日本の中で世界経済の一役を担うには、日本独自の高品質に加えて独創性を加えることにより高価格で勝負できるようになるのが大きな復活要素ではないかと思っています。
本物志向。ブランドづくり。これらを執念込めてできるかが特に重要ではないかと思っています。
皆さんはどう思われますか

ビジネス徒然草  Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.145(2023年7月号)

プロフィール

藤本 周二(ふじもと・しゅうじ) 【公認会計士】
アネーラ税理士法人 統括・東京事務所代表
1959年12月生まれ、福岡市出身、中央大学法学部卒。98年12月藤本公認会計士事務所を設立、所長に就任。2009年8月にエスペランサ税理士法人を設立し、理事長に就任。12年1月エスペランサコンサルティング株式会社、15年3月九州M&Aサポート株式会社、20年12月九州有限責任監査法人を設立。19年エスペランサ税理士法人をアネーラ税理士法人に改称。
信条:至誠天に通ず
著書:『社長の品格』(海鳥社刊)

https://anera.or.jp/

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