経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

あなたは自己否定できますか?

ビジネス徒然草  ■アネーラ税理士法人 統括 藤本 周二

私は仕事柄多くの経営者にお会いします。従業員の方々にもお会いします。会社の実力はまるで大学受験にも似てて経営者の実力に比例して会社の業績も変化していくと思っています。そして受験と同じように小学校受験、中学校受験、高校受験のように進んでいく中で取り組みが変わっていきます。よく彼は中学まではできたけど高校では今一つだね、と言った言葉が聞かれると思います。これは各段階で考えを変えないと次のステップに進みにくいことを示しているのではないでしょうか。

経営もこれに似ています。仮定のはなしですが、ワンセット30名程度と思います。
つまり従業員30人くらいまではほぼ考えも変わらなくても会社は成長できると思います。そうすると、60名になるには、さらにもっと増やすには考えを変える必要があると言う事です。いわゆる経営の踊り場です。例えば30人までは社長の号令の下で全員が動く。社長が部下を直接管理するというのも可能かもしれません。営業も社長一人の実力で受注できたかもしれません。しかし、60人になると非常に困難です。60人になるには権限案分が必要になってきます。この権限案分、一般的には職務分掌と言いますがこれは一種社長の権限を狭めることにつながります。ある意味社長からしたら自己否定になります。組織化は社長からしたら自己否定でもあるものです。ここを乗り越えられれば次のステップに行けるのではないでしょうか。

60人の組織が出来ても次は120人の組織にできるかの課題が出てきます。そこではさらに職務分掌を進めたり、事業部制、部門部制、店舗展開、M&A、グループ経営などの課題も出てくるかと思います。つまり会社の成長に従って無限に課題は出てきますし、さらに大きな課題が待っているとも言えます。

言い換えれば会社の成長は自己否定の連続ともいえるのではないでしょうか。
まるでスイッチバックの列車に乗っているようでもあります。ある段階では先頭車両が次の段階では最後尾になる。このように会社を成長させるには常に考え方や行動様式を変えていかなければならないと思います。

常に自己否定と背中合わせです。同時に従業員の皆様も考えかたを変えていく必要があります。そしてこの自己否定は新しい分野へのチャレンジにもつながるものと確信しています。

経営者の皆様は自己否定されていますか?

ビジネス徒然草  Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.132(2022年6月号)

プロフィール

藤本 周二(ふじもと・しゅうじ) 【公認会計士】
アネーラ税理士法人 統括・東京事務所代表
1959年12月生まれ、福岡市出身、中央大学法学部卒。98年12月藤本公認会計士事務所を設立、所長に就任。2009年8月にエスペランサ税理士法人を設立し、理事長に就任。12年1月エスペランサコンサルティング株式会社、15年3月九州M&Aサポート株式会社、20年12月九州有限責任監査法人を設立。19年エスペランサ税理士法人をアネーラ税理士法人に改称。
信条:至誠天に通ず
著書:『社長の品格』(海鳥社刊)

https://anera.or.jp/

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