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「精神性の向上」が問われる時代

弁理士よもやま話

弁理士よもやま話  ■加藤合同国際特許事務所 会長  加藤 久

銀行、放送局、新聞社。この3つの共通点はなにか皆様お分かりでしょうか。
それは数年前まで超安定、高収入と言われていた憧れの職種です。そこで今大きな変化がおきているようです。真偽のほどはよくわかりませんが、大量リストラが始まるらしいのです。

2014年、英オックスフォード大学のAI(人工知能)研究者、オズボーン氏が、同大学の研究員とともに著した『雇用の未来『コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文が話題となりました。
平たく言えば10年後(現時点では4年後)になくなる仕事はなにかであります。同論文の凄味は、702の職種すべてについて、コンピューターに取って代わられる確率を仔細に試算したことにあります。人工知能の発達により、これまで人間にしかできないと思われていた仕事がロボットなどの機械に代わられようとしています。

この論文が発表された時には、遠い未来のような気がしていましたが、それはもうそこまで来ているということです。その表れの1つが冒頭に述べた、銀行、放送局、新聞社の様変わり状態なのでしょう。どのように安定しているように見える仕事であっても、20年、30年という時代の流れの中では大きく変わるということでしょうか。特に今の時代は技術革新のスピードが速く、変化のスピードは想像以上かもしれません。
そういう時代であるからこそ、目先のことや過去の成功にとらわれることなく、「お客様にとって真にかけがえのない存在」を徹底的に追及していかねばならないと思います。
コンピュータやロボットが現在人間がやっていることの99%をやれる社会を想像してみてください。人が嫌がる肉体的な動労や単純作業だけではなく、創作的な活動もロボットがやるようになったらどうでしょう。

労働は悪だと考える人にとってそこはユートピアかもしれません。一方で、労働の対価として収入を得るという現代人の生き方が大きく変わることは間違いありません。ほとんどの人は、「労働以外の何か」から収入を得る手段が必要となります。
それとも、すべての人間にたいして、労働とは無関係に生活や遊ぶためのお金を与えるようになるのでしょうか。なんとも奇妙な社会が実現しそうです。そのときには人間の価値観も随分と変わっているかもしれません。

皆さんもぜひ今の自分の仕事をすべてロボットがやってくれる世の中を想像してください。
起業にしても、会社の運営にしてもすべて高度の情報と判断力を備えたロボットがやれるようになるとどのような社会になるのでしょうか。すべての企業の判断はロボットが行うようになり、その未来はすべて予測通りになると、株式市場自体がなりたたなくなります。

つまり行きつくところは「人間の精神性の向上」これしかありません。われわれが住む物質世界での生きる意味が問われ、人間の本質、すなわち「肉体ではなく魂」が正面から問われる時代になるような気がします。 精神性の向上なき技術革新は間違いなく人類の破滅につながり、一方で、精神性の向上を伴う技術革新は、われわれがこの世に生まれた真の意味についての回答が得られ、人類を次のステージにあげる大きなきっかけになるように思います。

弁理士よもやま話  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.104(2020年2月号)

プロフィール

加藤 久(かとう ひさし) 【弁理士】
加藤合同国際特許事務所  会長

1959年12月生まれ、福岡市出身、中央大学法学部卒。98年12月藤本公認会計士事務所を設立、所長1954年福岡県生まれ。佐賀大学理工学部卒業後、福岡市役所に勤務。87年弁理士試験合格、94年加藤特許事務所(現:加藤合同国際特許事務所)設立。2014年「知財功労賞 特許庁長官表彰」受賞、20年会長就任。
得意な技術分野:電気、機械、情報通信、ソフトウェア、農業資材、土木建設、無機材料、日用品など。

加藤合同国際特許事務所|福岡で特許・実用新案・商標・意匠の出願は
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