経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

失敗する事業承継

ビジネス徒然草  ■アネーラ税理士法人 統括 藤本 周二

私は仕事柄、多くの経営者の方々や従業員の皆様にお会いします。事業承継が課題の会社もかなりあります。事業承継が課題となるのは素晴らしい会社とも言えます。通常の会社は事業承継する前にダメになっているからです。

事業承継は親子間承継が多いと思われます。ここがさらに難しくします。親が子を思う心に勝る心なしとも言います。従業員から社長になるケースとの大きな違いがここにあります。また、子は親を超えたいとの考えも常にあります。私が見てきた失敗のケースをご紹介します。

下の図をご覧ください。

会社の業績を単純に図解化しました。つまり、社長の長所と短所の差が業績です。このような状況で会社を引き継いだ子供はどう思うかです。親子間の問題もありますが、失敗するケースは親の短所を是正することに注力することです。そうすると親の短所の部分が減り、業績も上がるだろうと子供は推定しますが実は短所が減っても子供の自分の社長としての長所が示せない限り業績は悪化します。

根本的に会社は経営者の長所で伸びるものです。当たり前のことですがここが経営の肝ではないでしょうか。過去の偉大な経営者もいろいろな短所を言われていますがその長所は驚異的です。そこに横たわるのは人間関係を大事にするという当たり前の事から成り立っているのが共通です。大きなことを達成するには小さなことを大事にするという習慣が必要です。スティーブジョブズも小さなことをとても大切にしていました。人間関係を大事にする経営は古い。大きな需要を掘り起こすのだという経営者はほぼ失敗です。空理空論にすぎないからです。

そして、空理空論経営者はそれを注意する人を回りにおかない。耳障りのいい人を回りに置く。現実を見ようとしない。時代が悪いと言い始めて、会社をつぶしていきます。しかし、本人は親の悪いところは是正していると自信を持っています。経営は怖いものです。トップが変わるだけですぐに会社は変わってしまいます。子供は自分なりの長所を伸ばすために耳の痛い意見に身を傾け長所を伸ばさないといけません。

後継者の皆さん。どう思いますか?

ビジネス徒然草  Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.130(2022年4月号)

プロフィール

藤本 周二(ふじもと・しゅうじ) 【公認会計士】
アネーラ税理士法人 統括・東京事務所代表
1959年12月生まれ、福岡市出身、中央大学法学部卒。98年12月藤本公認会計士事務所を設立、所長に就任。2009年8月にエスペランサ税理士法人を設立し、理事長に就任。12年1月エスペランサコンサルティング株式会社、15年3月九州M&Aサポート株式会社、20年12月九州有限責任監査法人を設立。19年エスペランサ税理士法人をアネーラ税理士法人に改称。
信条:至誠天に通ず
著書:『社長の品格』(海鳥社刊)

https://anera.or.jp/



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