経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

情操教育の大切さ、受け止めの大切さを痛感する

Books

Books ■株式会社梓書院 取締役  前田 司

『あふれでたのはやさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』
 寮美千子 著
 西日本出版社 1000円+税

少年刑務所は16歳以上、20歳未満の受刑者を収容する刑務所である。いわゆる「少年院」とは違い、より重い罪を犯した少年たちが、実刑判決を受け、成人と同様に服役している施設だ。

重い罪を犯した少年たちとは、いったいどのような子たちなのだろうか。狂暴で恐ろしく、手が付けられないような荒くれものをイメージする方も多いと思う。
実際、本書の著者もそのようなイメージを持っていたという。しかし、そこに収容されている少年たちは、それぞれ加害者である前に被害者であったような、心に深い傷を負い、社会になじむことができず、自分を守るための不出来な鎧をみにまとい、生きづらさを抱えてもがき苦しんでいるような少年たちだったという。

本書は、そんな少年刑務所内で行われた「詩と絵本の教室」約10年の軌跡である。半年間、たった6回の教室で「誰も変わらない子はいなかった」というほど、劇的な変化をもたらしたという。
本書は、詩と絵本が持つ力、そして詩と絵本を通して「自己表現+受け入れ」の大切さを教えてくれる。同時に、生きづらさを抱えた子たちを受け止められる社会になることを、手を差し伸べることができる人が一人でも増えることを切に願いたくなる一冊だ。

Books  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.128(2022年2月号)

➤ 他の「Books」記事を読む

プロフィール

前田 司(まえだ つかさ) 
株式会社梓書院 取締役

福岡市出身、福岡大学人文学部卒。2009年福岡の出版社・株式会社梓書院入社、取締役部長を務める。漫画原作家。踊る編集者としてラテンダンス(カシーノ)の普及にも勤しむ。

九州・福岡の老舗出版(書籍・マンガ・電子書籍)企業:梓書院
九州・福岡での書籍や漫画(マンガ)、電子書籍の制作・出版の事なら老舗出版企業の梓書院へお任せ下さい。



コメント

タイトルとURLをコピーしました