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織幡神社(宗像市)、年毛神社(福津市)

神社訪ねある記

エッセー 神社訪ねある記  ■箱嶌 成風

コスモスや 眠たき昼の 漁師町

9月24日、宇野さんの車で古賀市から405号線を北上。左手に玄界灘の潮風を受けながら海岸線を走った。
「鐘ヶ崎に織幡神社という古い社がありましてね。近くの年毛神社の宮司様が併せてお祀りされておられます。いずれも岬の神社で海人衆の守護神です」
 切れ間隠れに時々海が見える長い分厚い松並木の防風林の中をほとんどすれ違う車もなく走った。なにか4次元の空間にまぎれこんだような不思議な気分だった。鐘崎漁港を過ぎ、右手に響灘、左の玄界灘に削られた陸地の角(つの)のような岬道を上った。

織幡神社はその雑木林の中にあった。玄海灘と響灘にせり上げられたような佐屋形山に上る長い階段の果てに一の鳥居があった。足弱の私にはとても登れるような高さではない。緩い車道を進み神社の前に出た。振り返ると鐘ヶ崎漁港が真下に見えた。その長い階段を小学生たちが元気よく上ってくる。織幡神社の扁額のかかったご本殿で土地の氏子さんに説明を受けながら石畳に座り込んで画帳を開きスケッチを始めた。小学校の2年生の課外教室ということだった。


藪を押し分けて水際の境内に出る。風の立て髪のようにめくれて白い波頭が打ち寄せる響灘が見降ろせた。地の島がすぐ迫って見える。古来からの航海の難所だったようだ。神功皇后が半島に出征の折、忠臣の武内宿祢がここで戦勝の軍旗を織ったところから織幡の名がついたと説明書きにあった。武内宿祢を主神に祭り、この地から宿祢が昇天し、その靴の沓脱塚(くつぬぎづか)が残っている。
また、境内に巨大な岩が据えられていた。昔からこの岬には異国の巨大な鐘が海底に沈んでいるという言い伝えがあり、大正期に引き上げたところこの大岩であったという。鐘はまだ沈んでいるというロマンが底深くに眠っている。

織幡神社を出て「さつき松原」という防風林の中を南下し年毛神社に向かった。玄界灘から潮が満ちこんでくる釣川を渡って福津市勝浦に向かう。いま、稲穂が実った稲田の中を走っている。ここ一帯は入海だったそうだ。江戸時代に干拓して耕作地に変えられ一面の田んぼである。左手に奴山(ぬやま)古墳群という世界遺産が広がっている。四世紀ごろの宗像氏一族の墓所だったらしい。

その玄界灘に接する海岸近くに年毛神社はあった。一対の御影石つくりの灯籠の奥に柏紋の年毛神社のご本殿が見える。神社の一の鳥居は神殿裏の玄界灘に向かって立っている。海からお見えになる神様を迎え入れるように。右わきに社務所があった。玄関先に石つくりの亀さんがかわいい目を見開いて歓迎してくれた。

「どうぞ、おかけください。私も足を痛めていますので」と言って椅子を出してくれた。
闊達な語り口で80を少し出ておられるお方にはとても見えない明るい声の女性宮司様、永島淑子子(ヨシコ)宮司様だった。父上の跡を継がれて織幡神社の宮司も兼ねておられる。年毛神社の来歴を大量のノートを開いてご説明を受けた。志賀海と宗像の水軍を率いて三韓出征のおり、「ここは敵に勝つ浦」と神功皇后が言われたことから勝浦あるいは桂と名付けられたそうである。また、この浜は塩田として栄えたので製塩の守護神として尊崇されている。

お部屋の長押(なげし)に数本の弓が掛けてある。そして、大百足(むかで)を弓で射殺した俵(たわら)の藤太秀郷(とうたひでさと)の絵が掲げてあった。「私は秀郷の末裔です。弓も引きますよ」といわれてびっくり。弓道五段、錬士(れんし)の資格もお持ちで、国学院大学の文学部を出られた才媛で銀座、日本橋界隈を闊歩しておられたモダン女史でもあったそうである。

神社を辞し、裏の勝浦浜に出てみた。志賀島に向かって弓なりに伸びた白砂の浜と松原。寄せては返す白波のリズムと潮風に身も心も洗われ、自然と禊(みそぎ)をしたようなすがすがしい気になった。

織幡神社

住 所 福岡県宗像市鐘崎224
御祭神 武内大臣、住吉大神、志賀大神、天照皇大神、宗像大神、香椎大神、
    八幡大神、壹岐眞根子臣

年毛神社

住 所 福岡県福津市勝浦943
御祭神 志賀大明神(底津少童命、中津少童命、表津少童命)、住吉大明神(底筒男命、中筒男命、
    表筒男命)、塩竃大明神

神社訪ねある記  Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.173(2025年11月号)

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著者:箱嶌八郎(成風) 氏
有限会社タオコーポレーション・風水家相タオ設計工房主宰。
福岡市生まれ。当仁小、中学、修猷館高、早大卒。
西日本新聞TNC文化サークル・風水教室講師・もの書き屋・エッセイスト。
・第23回森鴎外記念北九州市自分史 文学賞
・第50回福岡市文学賞
・第3回子母沢寛文学賞「愛猿記賞」 等々大賞受賞。
著作:「されど風水」あり。

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