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美奈宜神社(福岡県朝倉市)

神社訪ねある記

エッセー 神社訪ねある記  ■箱嶌 成風

青甘き 稲田の風の 里美奈宜

 盆を過ぎても今年の暑さはなかなか収まらない。場所によっては気温40度を超えるところがある。温暖化を通り越して地球沸騰化である。8月19日、福岡市の気温35度のなか朝倉市の美奈宜神社に宇野さんの運転で向かった。九州大分道を甘木ICで降り、筑後川水系の川を幾筋も渡って一般道路を田主丸方面に走った。一面の青田に浮くようにブリジストンタイヤの甘木工場があった。筑後川の水の恵みと肥沃な大地は朝倉地方を豊かな瑞穂(みずほ)の国にしている。古来より穀倉地帯として栄えてきた平野である。

こんもりした社(やしろ)の森が見えてきた。稲田の広がりを前に美奈宜神社はあった。宮司様との取材の時間に間があったので神社を一巡りしてみた。平野の中の神社だから、足弱の老体が苦しめられる階段がなくて助かった。クスノキ、イチョウの巨木が立ち並んで枝葉を茂らせ葉影を優しく作ってくれていたので少し暑さをしのげた。一の鳥居、二の鳥居の奥に忠臣蔵仇討ち事件の元禄15年(1702)に再建されたという朱塗りの重厚な神門をくぐってご本殿に参拝。拝殿と奥殿をつなげた荘厳な構えである。

いつも思うのだが神社のご本殿には菩薩様や如来様やキリスト様のようなご尊像がない、ガランとした空間である。奥の奥に神の依り代(よりしろ)として鏡が1枚安置されている、しかも扉の奥にである。この空間が神と人を祈りと思索でつなぐ大切な宇宙空間なのかもしれないし、八百万の神々や祖霊と交信できる場所。と、考えると神社様はなんとも有難く心豊かにしてくれる。

社務所に上がると先代の奥様に冷たいお茶を頂いて生き返った。すぐ内藤尚武宮司がお見えになった。40代半ばのがっちりした体躯のお方で近づきやすい雰囲気をお持ちだった。歴史観を踏まえたお話が分かりやすかった。26代目の宮司を受け継がれておられる。朝廷、内裏に仕える藤原氏の御一門で内藤氏を名乗られたとご説明を受けた。

「美奈宜とは聞きなれない神社名ですね。朝鮮半島に関係のある地名ですか」

「ヤマト王権の神功皇后がこの地方の反抗勢力羽白熊鷲(はじろぐまわし)という豪傑の攻撃からこの地を守るために川蜷(カワニナ)を集めて蜷城(ニナギ)を築いて防衛したことからニナギが訛ってミナギになったと伝えられています。1800年も前のことです。その城跡に神社が建てられています」

蜷貝で防衛したということはどんなことだろう。硬くて先の尖った蜷貝を鏃(やじり)にして大量の矢を放って羽白熊鷲軍を破ったということかなとも推理してみた。

 その後、奈良時代には聖武天皇より勅使を送られる名神大社となり、平安期には醍醐天皇のころ式内社という格式の高い神社に指定されている。後世、戦国期の戦乱で焼失、慶長6年(1601)に黒田長政公が社殿を造営したとご説明を受けた。

「境内に白峰神社が摂社として祀られていますが何の神社ですか」

「平安末期、保元の乱(ほうげんのらん)で敗れた崇徳上皇(すとくじようこう)が四国に流され都に戻れず怨みを持って亡くなられた。その霊を鎮めるため香川県の林田に造られた白峰神社を朝倉の林田にも合祀されています。神社の役目には怨霊を祀って安らかになっていただくのもそのひとつです。怨念を断つ数少ない神社として美奈宜神社があります」

断つということは、悪縁を断つ、病魔を絶つ、これまでの不運を絶つ。様々な縁切りに白峰神社の効能が発揮され、悪縁を断って再生していく新生への祈念を願う人たちが相当数神社に参拝されお祓いを受け、生まれ変ったようにすっきりして帰られるそうである。ひょっとして税務署とも縁が切れたら助かるなとひそかに思ったりもした。

「最近は過疎化で宮司不在の神社が増えてきて私は30数社をまわっていますよ」  

神社はもともとは住民の集会所であり避難所であり語らいの場所でもあったと言われる藤内宮司の平易な神社感に、「すっきりしました。また参らせてください」と言って青葉に覆われた美奈宜のお社を後にした。

美奈宜神社

住 所 福岡県朝倉市林田210
御祭神 ●美奈宜神社
     素戔嗚命(厄除・健康のご利益)
     大己貴命(縁結びのご利益)
     事代主命(商売繁盛のご利益)
    ●白峯神社
     崇徳天皇(悪縁を切りのご利益)
    ●淡島神社
     淡島様(安産・婦人病のご利益)
URL  https://minagijinjya.com/

神社訪ねある記  Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.172(2025年10月号)

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著者:箱嶌八郎(成風) 氏
有限会社タオコーポレーション・風水家相タオ設計工房主宰。
福岡市生まれ。当仁小、中学、修猷館高、早大卒。
西日本新聞TNC文化サークル・風水教室講師・もの書き屋・エッセイスト。
・第23回森鴎外記念北九州市自分史 文学賞
・第50回福岡市文学賞
・第3回子母沢寛文学賞「愛猿記賞」 等々大賞受賞。
著作:「されど風水」あり。

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