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イメージではわからないデータ分析で福岡はどう見える?

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Books ■株式会社ビジネス・コミュニケーション 宇野秀史

『データが示す福岡市の不都合な真実』

木下敏之/著
梓書院/刊
1,400円+税

今よりもっとよい状態にするために、まずやるべきことは何か?当然、現状を正確に把握することであろう。ただ、分析するデータ不足やこのましくないデータや情報を報告されなければ、企業であれば経営判断を間違うことになる。大きな損失を出したり、市場から退場させられることにもなる。自治体の経営も基本的には同じである。福岡市はマスコミなどから「地方都市最強」などと称され、福岡市民までも福岡市は元気な町だと思い込んでいる。

しかし、著者である福岡大学経済学部教授の木下敏之氏が、様々なデータを丹念に分析した結果見えてきた福岡市の姿は、我々が思い描いてきたものとは随分異なる。「福岡市民の所得は30年間横ばい」「福岡市の子どもたちは4人に1人が貧困に苦しんでいる」「出生率が非常に低い」など、とても地方都市の優等生のように扱われてきたイメージとはほど遠いものである。木下氏は、課題を認識することからしか解決策は導き出せないことを教えてくれている。

本書ではこうした福岡市が抱える様々な問題を示すとともに、福岡市民の所得を増やし2050年に180万人の都市にするための政策提案も紹介している。都市の発展、衰退は企業に大きな影響を与える。福岡で事業活動を行う企業幹部や未来を担う学生など多くの人に読んでもらいたい。

Books  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.134(2022年8月号)

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プロフィール

宇野 秀史(うの ひでふみ) 
ビス・ナビ編集人
昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。

著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)

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