談話室 五三の桐 ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也
親が亡くなり、年末に子供たちが帰省した場面で遺産分割のトラブルが発生することは珍しくありません。普段は離れて暮らす兄弟姉妹が久しぶりに顔を合わせ、相続の話題が一気に具体化することで感情の行き違いや認識の差が表面化しやすいためです。特に年末年始は限られた滞在期間で結論を出そうと焦りが生じ、意見対立が激しくなる傾向があります。
典型的なトラブル例として、まず「財産内容の把握不足」が挙げられます。実家に残る預金通帳、固定資産税の書類、権利証、登記事項証明書(登記簿謄本)などを見て、ある子が初めて具体的な財産総額を知り不公平感を募らせるケースがあります。また「介護負担をめぐる感情の衝突」も挙げられます。例えば、日常的に親の世話をしてきた子は「自分が多くもらうべき」と主張し、遠方に住む子は「法定相続分は守るべき」と応じず、平行線になるというケースは少なくありません。さらに不動産が主な遺産の場合、「誰が住むのか」「売却するのか」で対立し、話が進まないことがあります。
こうしたトラブルを避けるには、まず帰省時に「結論を出さなくてもよい」という共通認識を持つことが重要です。相続財産の把握には一定の作業が必要で、勢いで話しても正確な判断はできません。さらに兄弟姉妹だけで話がまとまらない場合は、弁護士や司法書士など専門家のアドバイスを受けることによって冷静に話が進むことがあります。帰省は「結論の場」より「話し合いのスタート」と捉えることが円満な遺産分割の第一歩となるでしょう。
「談話室 五三の桐」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.174(2025年12月号)
プロフィール
司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也(えがみ しんや)

昭和50年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成10年、司法書士試験合格。約20年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成30年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。

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